珈琲を売るのは簡単とは限らない

お客さんがいらして、いつものコーヒー豆を注文された。
新しい豆が入ってますよ、と、ぼくは言った。
へえ、どんな味? と彼は聞いた。
さわやかな苦みがあって、雑味がなく、後味スッキリ。こんな男がいたら、さぞやモテるだろなーといった味、とでもいいましょうか。
すると、そりゃボクのことじゃないですか!と彼は叫んだ。
ぼくは不意を突かれ、しばらく声が出なかったが、
そそ、そうかもしれないですね。と、間の抜けた返答をしてしまった。
接客業には未経験者には想像できない大変さがある