ノスフェラトゥな午後

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ぼくたちは貸しボート屋の近くに車を止め、池の縁をまわって対岸のキャンプ場へ向かった。道は細く、左手は池、右手は古木の生い茂った急斜面。今日はまだ人が通っていないのか、先頭を歩いたぼくはクモの巣を何枚もかぶってしまった。池を半周し、ぼくらはキャンプ場に着いた。ひっそりして人影はない。ヨッパライ某は歩き疲れたらしく、木陰のベンチで休んでいる。ぼくは水辺に降りて写真を撮っていた。湖畔は寂しげなヒグラシの声に包まれていた。静かだ。いつしかぼくは物悲しい気分に浸り始めていた。静寂を破ったのはヨッパライ某の叫び声だった。「血が、血が!」真っ青になってやってくるヨッパライ某の首が赤い血に染まっている。首といっても足首だけど。ロングスカートの縁に血がついていたので、なんだろうと思って見てみると足首が血まみれになっていたという。出血箇所に豆粒のようなものがたくさん付いていたので、それを取り除いたところ、血がいっぱい出てきたのだそうだ。特に痛みもなかったので、キツネにつままれたような気分になったらしい。経験したことはないが、これはヤマビルの仕業だろう、と思った。ヨッパライ某は不安そうだった。またあのじめじめした道を通って帰らなければならない。吸血生物が待ち構えているあの細い道を。帰り道、ふいにヨッパライ某が立ち止まった。足首を見ると、小さなヒルが数匹食いついて、血がにじんでいる。ぼくは笑いながら取ってあげたが、ヨッパライ某は平静を失い、来る時の2倍のスピードでぐんぐん前を行き、やがて視界から消えた。
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“ノスフェラトゥな午後” への6件の返信

  1. こばなさんはヒルに吸い付かれたことはないですか?ぼくは子どものころ、田んぼの脇を流れる小川でメダカなどを取っていたときに、よく吸い付かれてました。でも、陸上でヒルに攻撃されたのは今回が初めてです。ヨッパライ某はヒルに噛まれて、映画のエイリアンを思い浮かべたそうです。体の中で卵がかえり、おなかを食い破って出てくるんじゃないか、と、本気で心配したそうです(笑)

  2. うわぁお。まじですか。わたしだったら、もう旦那におんぶしてもらいたい。
    エイリアン、想像しただけで、鳥肌です。
    川口ひろし探検隊なみに、こわいですね。

  3. もちろん、まじですよ。もし見たかったら動画をアップしてありますから見てください。ぼくの足にくっ付いていた2匹です。けっこうかわいいと思うんだけど。
    http://youtu.be/hj5L5Kx0a3Q
    たまちゃんも、霧島方面に行くときは是非寄ってみて下さい。時にはヒルと戯れるのもいいものです

  4. うわぁ、気持ち悪いっ
    これが、これが足にぃ…。
    怖すぎる。
    ぜったいに遭遇したくないっ。

  5. なかなかかわいいものですよ。水槽に入れて飼ってみようと思うくらい。なれてきたら芸も仕込みたいですね。お手、くらいはできるようになるんじゃないでしょうか

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