ひまわりの丘

ベッドから起きあがり、カーテンを開けると青空が見えていたが、それは夏の青空ではなかった。青い空に白い入道雲が力強くわきあがる夏の青空であれば、迷わず海に行って泳ぎまくるはずだったが、こんな空ではそんな気分にはなれない。雲の形がカッコ悪すぎる。車は珍しく北に向かって走り出した。目指すは、あのソフィアローレン主演の映画「ひまわり」に出てくる某国のひまわり畑に来たような気分にさせるかもしれない、某都市農業センターのひまわり畑。
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駐車場に車を停め、ドアを開けると、ふとどこからか、あの「ひまわり」のテーマを演奏するピアノのメロディーが聞こえてきた。ような気がしたが錯覚だった。ヘンリーマンシーニによるあの深い悲しみを湛えた美しい旋律は、どこか翳のある男と呼ばれて久しいぼくのテーマにふさわしいといえよう。センターに入ってすぐのところに、目的のひまわり畑はあった。あったのだが、時はすでに遅く、盛りを過ぎたひまわりの花びらは茶色く変色し始めていた。でも、それでよかったのかもしれない。ぼくの記憶の中で永遠に揺れ続けるひまわりは、たぶん、こんな感じなのだから。
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そのポピュラーな大柄なひまわりの向こうに、見たことのない、やや小振りなひまわりが満開を迎え、風に揺れながら、遠い見知らぬ国の歌を口ずさんでいた。しかし、ぼくの目にはどう見ても彼らはひまわりには見えなかった。
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でも、背後に回ってみると、そのうなじ?の辺りが、まさにひまわりのそれだった。枯れはじめたひまわりを見たせいで、ぼくは少しさびしくなっていた。枯れてうなだれたひまわりは、夏の終わりを告げているようにしか見えなかった。
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ひまわり畑の横では色とりどりのヒャクニチソウが一面に咲き誇っていた。
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ヒャクニチソウなんか、どうでもよかった。
でも、その中に黄色い大きな花がひたむきに空を仰いでいるのが見えた。
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ぼくは見えない糸に引かれる夢遊病者のように、ふらふらとそちらに歩き出していた。
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“ひまわりの丘” への6件の返信

  1. さすがスプーンさん、おなじ向日葵を撮るにも、私などとはアングルが違いますね!
    最初の2枚は夏空ですが、後ろの2枚は秋空のような色ですね。
    写真を貸して下さい。

  2. 写真、特別に貸してあげましょう(笑)
    きのう見たひまわりは、ぼくが古くから知っているひまわりとはどことなく違うような気がして、遠い宇宙から来た謎のひまわり、というテーマで撮ってみました。この次は普通のひまわりを撮ってみたいと思います。

  3. スプーンさん、こんばんは。
    ひまわり畑・・・素敵~~~
    画像を大きくして、しばし見惚れていました。
    鹿児島にもこんなところがあるのですね。
    ありがとうございました。元気が出ます^^

  4. こばなさんにそう言ってもらえると、とってもうれしいです。
    この畑、車で30分くらい走ったところにありますよ。
    秋になると、コスモスが風に揺れて、時間が経つのも忘れるくらい。
    静かな、とてもいいところです。

  5. [E:sun]おはよう ございます。
    某都市農業センターの画像!この前ママさんのブログで拝見さしてもらいました。
    スプーンさんのは・・また別アングルで・・・相変わらず!なかなかの腕前です。
    裏ヒマワリ面白いですね~~。貸して下さい。。

  6. 裏ヒマワリ、いいでしょう。このうなじのあたりがセクシーなんですよ。おいさんも今度は後ろから撮ってみてね。

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