今朝、ぼくはいつものように豆を焼いてた。
そこに、いつものお客様がいらっしゃった。
「はやいですね」ぼくは豆を袋につめながら言った。
「うん、今からヨガ教室に行くのよ」
「へぇ、ヨガですか」
ふとぼくは彼女が変なポーズをとっているところを想像した。
「あたし、びっくりしたの」
彼女は急にびっくりしたような目になって、言った。
「みんな、平気でおならをするのよ、女性なのに」
あんなムリなポーズをとれば、屁も出やすいだろう。ぼくは思った。
「目の前で」彼女は強調した。
目の前にいる女性が、平然と屁を放ったら。
その情景を想像したぼくは息苦しくなった。
彼女が帰った後、ぼくはしばらく考えていた。
ぼくは常々思っている。オンナはオトコの前で屁をひってはいけない。一般に女性は自然にオンナを演じるようプログラムされている。男だってそうだ。男らしさのプログラム。宝塚の男形は、男より男っぽく振舞う。古い話だが、沢田研二は宝塚の男形を見て、あのダンディな振り付けを研究したそうだ。男っぽさ、女っぽさは、はかなく、せつない。ぼくは女性がハナをかむのもいやだ。歯を磨く音もキライだ。生命を運ぶハードウェアの生々しさ、リアルさに、興が醒めてしまう。
変? そう、いうまでもない。ぼくは狂っている。