朝、豆を焼いていると、開店前だというのに階段をせわしく駆け上がってくる者がいる。案の定、妹であった。また事件か。彼女は何でも事件にしてしまう。
「ねーねー、これ見てよ、これー」
といって、古びたアルバムをカウンターに載せた。
「うわ、そんなホコリっぽいものを出すなって」
ぼくはきたない物が嫌いなのだ。
「見てん、これ、アッコにそっくりじゃん」
アッコとは、ぼくの娘の名前。妹は近年、急に年老いた伯母を看るため、独居している彼女の家に通いはじめた。そこで、母の古いアルバムを渡されたのだという。
「後で見るから」
そういってぼくは、ボロッちいアルバムを棚の上に放った。ヒマそうに見えるかもしれないが、豆を焼いている時のぼくは忙しいのだった。
食後、ひと息ついたところでアルバムのことを思い出し、手に取ってみた。どれも女学校時代の友人と撮ったものばかりで、興味の持てる写真はほとんどなかったが、目を引いた写真が二枚あった。ひとつは「吹上浜キャンプ村」の看板が写っている写真。左のほうに煙を吐いている汽車が写っている。おそらく、5～60年前の写真だろう。でも、そこに母の姿はなかった。もうひとつは、吹上浜にずらりと並んだ、パワーのありそうなオネータマたちの写真。みんなニコニコしている。なぜか、ずっと見ていても飽きない。やすらかな気持ちになれる、不思議な写真だ。母はぼくが幼少の時に死んだので、いつまでたっても若いままだ。うらやましい、そう思った。
“吹上浜キャンプ村” への6件の返信
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2枚目の写真がスプーンさんのお母さんでしょうか？
かわいい方ですね～。(^^)
古い写真、好きですね～。
母方の祖父母の20代の写真を発見した時は、
じーちゃんのあまりのかっこよさにビックリしたのを思い出します。
ジャーニーズ系です、まじで。
（昔のは修正してたんでしょうか？(^^ゞ）
現在98歳で、ちょっと認知症気味ですが、
98とは思えない行動力がありますよ～。
古い写真って、いいですよね。特に白黒写真は。二枚目の写真、妹は母のだと言い張るのですが、でも、こんな顔だったのかな～。妹の顔に似てるとは思うのだけど。母はアルバムに友人の写真ばかり貼っていて、もしかすると違うかもしれません。でも、ミスなんとか、というのに選ばれたこともあるらしく、なかなかの美人だったというウワサです。手前ミソですが(笑) ねこみちさんのおじいちゃん、かっこよかったんですね。もし、タイムスリップ小説のように時を駆ける力があったなら、ねこみちさん、20代のおじいちゃんに会って話してみたいのでは？ぼくは、20代の母に会ってみたいな。もちろん、他人のふりをしてね(笑)
先日、BSで「Back to the Future（Ⅰ）」を見ました。
85年の作品なので、僕の青春時代の映画のひとつです。
筋はご存知の通り、過去に迷い込んで、自分の両親をくっつける話。
夢がありますね～
Back to the Future、あれは痛快でしたね。
ところで、劇に出てくるダンス・パーティの名前、覚えてます？
答え＝深海ダンスパーティー。
いつかやりませんか？
ちなみに、ぼくはクラゲでGo !
The Enchantment Under The Sea Dance.
ぷふ～(^^ゞジャーニーズになってますね・・・。
こんなことでコメントして、すみません～。
私は小さい頃の母に会ってみたいですね。
まゆげ3㎝上でカットした、すっごいおかっぱ頭の
写真が残ってますよ。(^^)
むかし、女の子たちは、みんな、おかっぱ頭だったような気がします。
最近、見ないですよね、おかっぱ頭とか、お下げとか。
ところで、今日、伯母の家に行って確かめてきました。二枚目の写真、母の友人らしいです(笑)
母は、友だちの写真を撮ることに夢中で、自分の写真をあまり残してないようなんですね。ぼくも、友人の写真をたくさん撮っているんですが、自分の写真はほとんどありません。
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