オフコースは秋のはじまり

6時を過ぎる頃には、もう、外は暗くなっていた。
夏もいよいよ終わろうとしている。
「もうすぐ大好きな秋ですね」
夕方いらしたお客様に、ぼくはそう言った。
「ええ。でもまだまだ暑いですわ」
そういって彼女は額の汗をハンカチでぬぐう仕草をした。
「秋になると、ぼくはオフコースが聞きたくなるんです」
コーヒーを袋につめながら、ぼくは勝手な話を始めた。
「いいですよね。小田和正さんは私と同じ年なんですよ」
彼女はいつもの上品な笑みを浮かべた。
「彼は、女性に多くを求め過ぎてると思いませんか」
ぼくの口調には少し皮肉がこもっていた。
「そういう男の人って、ステキですよね」
彼女はそう言った。

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