アカショウビン

店の棚を整理していたら、お客さんから借りたCDが出てきた。
「日本野鳥大鑑」
そのお客さんはまだ高校生。野鳥が好きだということだったので、「家の近くに毎年アカショウビンがきて鳴いていたのに、ここ数年、声がしなくなった」と、ボイスレコーダーに吹き込んであったアカショウビンの声を聞かせてあげた。彼はそれを憶えていて、次にコーヒーを買いにきた時、このCDを持ってきてくれたのだった。そのとき、彼はずいぶん疲れた様子だった。いまどきの高校生は勉強に忙しい。かわいそうに。「朝まで英字新聞で勉強してたんですが、文字が読めなくなって砂のように浮き上がり、こう、手ですくえるような感じに…」と、彼はカウンターに置かれた見えない英字新聞から文字をすくって見せた。その手がひどく年老いて見えた。特に驚くほどのことではない。ぼくもたまにあるのだが、彼はゲシュタルト崩壊を経験したわけだ。以来、彼はやってこない。季節は春。ぼくも冬は年寄りのようになる。彼は時々このブログを読んでいると言っていた。もし、これを読んだなら、返事をください。

“アカショウビン” への2件の返信

  1.  約束が遅くなりました。この頃になると、このコメントも気付かれないでしょうか。
     あのCDには録音されていなかった声を再生していただき、ありがとうございます。学校をサボって通っていた個人経営の図書館にも忘れ物を思い出したので、学校の帰りにでも引き取りに行こうかと思っているところです。
     近々、「忘れ物」を持たずに珈琲を買いに伺います。

  2. おー、久しぶりでした。元気?
    個人経営の図書館って、あそこかな。
    学校をサボって、うちにもおいでよ(笑)
    待ってます。
    月曜日は休みだから気をつけてね。

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