大晦日

昨日のお店に引き続き、今日は家の大掃除。
ぼくはまず台所の換気扇に着手した。
わが家の換気扇は、一般的なプロペラが回るタイプじゃない。
特殊なファンの前面に、油を吸着するための金属フィルターが3枚並んでいる。これに油がガムのようにへばりつき、一般のレンジ用洗剤ではビクともしない。
そこで、プロ用の洗剤を使う。50度の湯で割った、怪しく揺らめく青い液体に、油まみれのフィルター静かに浸す。待つこと2時間。
見事に落ちる。こする必要などまったくない。アッパレである。
この洗剤に出会うまで、ぼくは半日をこのフィルター掃除に費やしていたのだ。うっかりしてると人生はこのように消耗していく。
次にぼくは風呂場の掃除を始めた。壁のタイルに洗剤を吹き付けながらタワシでこする。跳ね返った洗剤が服につくので、寒い中、パンツいっちょで作業を続けた。これがよくなかった。
夕食に殻つきのカキを蒸したのとナマガキが出た。カキは大好物なのだが、ぼくは3回に1度の割合で当たる。今日は当たる可能性が高い。先ほどの風呂掃除で風邪をひきかけていたのだ。しかし、すでに手が勝手に動いてカキはぼくの口に運ばれつつあった。30分もしないうちに強い寒けと吐き気がぼくを襲った。ぼくは布団にくるまり、病魔が過ぎ去るのをじっと待っていた。