夕暮れ時、墓地を歩いていると、灰色に沈んだ風景のなかに色鮮やかな花束が明るく浮かび上がっていて、思わず足が向くことがある。 近づいてよく見るとそれは造花だ。ほんとによくできていて苦笑いすることになる。
ぼくが花に期待しているものは何。それは命の表現。それに酔って自分を忘れたい
人を酔わせるのは命
もう秋だし、なにか本でも読もう、って気になった。なんでもよかったのだけど、なぜか「今頃、春樹さんは何してるのかな」みたいな気分になってネットで検索したら、一人称単数、って作品がトップに出てきた。おもしろそうだったので電子書籍版をダウンロードして読んだ。なかなかおもしろい。といってもそれはエンターテイメント的なおもしろさとはちょっと違う。ゲーテはショーペンハウアーに「カントを1ページ読むとあたかも明るい部屋に入ったような気がする」と語ったそうだけど、ぼくがこの作品集のいくつかを読んで感じたのが、この「明るい部屋に入った感じ」だった。春樹さんはそんなことを考えて書いたんじゃないんだろうけど、自分が自分と呼んでる、この自分とはいったい何なんだ、みたいなテーマが根底にあって、文章はやさしいけど戦闘モード丸出しっぽい。そしてその矛先は春樹さん自身に向けられている。どうやら春樹さんは自分と戦っているようだ。なお、明るい部屋、とは、それまでは自分がいた部屋が暗いなんて思いもしなかったのに、どこからか光が射して明るくなり、見えなかった何かがうっすら見えてくる、という感じ
先日ヨッパライ某が近くの整形外科に行った際、血圧を測ったらずいぶん上がっていたそうだ。これまで100を超えることがなかったのに140あったという。「フッ、年のせいさ」。ぼくは冷ややかに笑った。するとめずらしく不安げな顔になって「気になるから血圧計を買ってよ」という。そんなわけで、熱帯雨林で評価が高く、かつ安いヤツをポチった。それが今日届いた。
新しい機械が届くとちょっと憂うつになる。説明書を読むのがめんどくさい。で、その要点は、安静にし、心臓の高さで測ること。さっそく測ってみると平均して下が80、上が115。たしかに上がっているが心配するほどではなさそう。ちなみにぼくは下が55、上が120だった。3年前に病院で測った数値が62と118だったので、ほとんど変わらない。
朝起きてすぐ店に行った。一晩中吹き荒れた風雨で雨漏りなどしてないか気になったから。朝早かったせいか、車はほとんど走ってなかった。ドキドキしながら店に入ったが、窓ガラスは割れていず、雨漏りもなかった。水濡れを心配して窓から遠ざけておいた商品などをもとの場所に戻し、急いでわが家にUターン
わが家は庭に植えてあったジャスミンが支柱ごとぶっ倒れたほかは、大した被害はなかった。問題は強風で飛んできた草や葉っぱがベランダを埋め尽くすほど積もっていたこと。これを放っておくと雨漏りの原因になる。
掃除を終え、近くのインド料理店でランチ
家に帰って一服したあと、草や葉っぱがいっぱい貼り付いた車を水洗い。
屋上のベンチに腰掛け、流れていく雲を眺めながら缶ビールを開けた
朝、友人Fがやってきた。いっしょにコーヒーを飲みながら、今年の夏は短かったね、という話になった。学生時代、彼とはキャンプに行ったり、泳ぎに行ったり、カブト虫を取りに行ったりで、時間があれば遊んでばかりいた。ほかにするべきことはたくさんあったのだけど。しかし、今、振り返って思い出すのは海や山で友達と無心に遊んだことばかり。人生の多くの時間を費やしたはずの仕事のことは不思議なくらい思い出せない。
ぼくはふと「小椋佳の道草みたいだね」と言った。Fもその歌詞を思い出し、深くうなずいた