天気が良かったので、パンとコーヒーを持って某動物園横の某公園に行った。動物園は有料だが、この公園は入場無料なのでぼくはとても気に入っている。公園を歩いていると、たまにライオンやシマウマ、オットセイの恐ろしげな叫び声が聞こえてきて、思わず足が止まる。ぼくのDNAに刻まれた防衛本能がそうさせるのだろう。この公園の歩道はすべて坂である。坂。それは人生を連想させる。ぼくはコーヒーの入ったポットとパンの入った袋、そしてカメラをぶら下げて急な坂を上った。そう、人生とは重き荷を背負いて坂を上るようなものなのだ。坂は長かった。といっても50メートルくらいだったが。坂を上りきると眺望が開けた。そこでぼくらはベンチに腰掛け、パンを食べた。空腹はパンで満たされる。しかし、ぼくの心はどこか陰のある人のように、うつろだった。人はパンのみにあらず。ぼくが本当に欲しいのはパンではないのだ。腹がふくれるとそう思う。時計は2時を回った。今日は4時からOさん宅でリエットの作り方を教わる予定だ。リエットとは、簡単に言うと豚肉で作ったコンビーフのようなもの。フランスパンにはさんで食べると涙が出るほどウマイ。ような気がする。
午後3時59分45秒。ぼくの運転する車はOさん宅の玄関前に停まった。ぼくはドライブの達人である。門限ピッタリに同伴者を送り届けるのは朝飯前なのだ。ぼくとドライブしたことのある人ならだれでも知っている。6時過ぎ、完成したリエットを前に、ビールで乾杯。さっそくそのできばえを試してみると、それは冬だった心に思いがけず春が訪れ桜が咲き、ウグイスが鳴き始めたような、つまりパノラマ的感動を呼ぶ大変うまいものであった。ぼくは静かに食べるように最近心がけている。イメージチェンジを図ろうとしているのだ。静かに食べていると、突然、左のフトモモがつった。食事中に足がつったのは初めてだった。昼間、重き荷を背負いて坂を上ったせいに違いなかった。しかし、座の面々からはぼくの運動不足を指摘する声が上がり、次のような体操が効果があるとのことで、全員立ち上がり、某ヨッパライの指導の下、不気味な体操が始まった。それは、ガキデカというマンガの主人公がとるポーズに酷似していた。知らない人が見たら、なんと思うか、ぼくはそれが気になった。
アサーション
今日は日曜日。朝から青空が広がっている。でも、ぼくはお仕事。お客様がいない時間、駐車場に咲いてる花の写真を撮った。ちょっと変わった花が咲いていた。アブラナ科のようだ。大根かもしれない。花弁をおもいきり広げ、なにか主張している。口があったら、なにか叫んでるに違いない。
以下、当ブログにも時々遊びにいらしてくださる、marutaさんのブログからの引用です。
「言いたいことが言えない」「断りたいのに断れない」「引き受ければ自分が大変になるのはわかっているのに,引き受けてしまって,相手を恨んだり,自分を情けなく思ったりする」「いつもにこやかに振る舞っている自分がとてもいやになってしまう」「いらいらして強い言葉で言ってしまう」「八つ当たりをしてしまう」など,人間関係に疲れてしまうことがあります。しかしよくそれを自分の性格のせいにしたり,人間関係にはよくあることだと納得させたりすることがあります。でも,実は…
※アサーションという言葉は日本語に訳すと「主張」という意味だそうです。アサションではありません。
桃の枝
lumiere naturelle
昨晩、風呂でシャワーを浴びながら、ぼんやり考えていた。ぼんやりだから、その考えはクラゲのようにブヨブヨしている。構造的にヨワイ。ぼくは言葉について考えていた。言葉って、つくづく不思議だな、と。人が言葉を選んでいるように見えて、実は言葉自体が言葉を選んでいる。言葉が人を操作し、何かを表そうとしている、みたいな。言葉が有する相補性とでもいおうか。これは錯覚? それはちょうど、真っ暗な部屋にあらかじめ置かれた地図に光が射して、少しずつ全体が現われる、そんな感じ。こんなことを考えてたら、3回もシャンプーしてしまった。あいかわらずヒマだね。
風のメッセージ
きっとAよね
昼前、近所に住むオバサンが店にやってきた。
「おいしいコーヒーちょうだい」
「オーケー、いつものアレね」
「このお菓子、どうしたの?」
「売ってるんだよ、お客さんが作ってきたの」
「食べてもいい?」
「いいよ、右が180円、左が150円」
「うわぁ~」
「どうしたの?」
「すごくおいしい」
「そう」
「ねえ、どんな人が作ってるの?」
「20代の独身女性」
「すごく誠実な人でしょう?」
「うーん。そうかもしれない」
「几帳面な人ね?」
「たぶんね」
「身長は?」
「167くらいだよ」
「はぁ~。残念」
「なにが?」
「息子の好みは163センチなの」
「そう」
「血液型はきっとAよね」
「さあ、どうかな」
黒いネーチャン
昨夜、totto*さんのブログにおもしろい記事が上がっていた。
以下抜粋
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くるくるくる~
日記サイトのMAIDOさんち(…と書けば、わかる人にはわかる)に
UPされてたネタを丸パクリ引用です。
↓このページでクルクル回ってる回転姉さんに出会えます。
The Right Brain vs Left Brain
時計回りに回転しているように見える人は・・・右脳派
反時計回りに回転しているように見える人は・・・左脳派
なのだそうです。
私には、これが反時計回りになど見えるワケがない!!!
と思うくらい、一貫して時計回りに見えるんですけど、
オットと2人の娘は、み~んな反時計回りに見えてるそうです。
すんずられなぁ~い[E:wobbly]
さて、皆さんにはどちら回りに見えますか?
それを聞いてみたくって~♪♪
ちなみに・・・、
【右脳派】 知識型。記憶力あり。感覚的、想像的、衝動的
【左脳派】 智恵型。応用力あり。論理的、現実的、実践的
だそうですよ。
例えば、同じ部屋にいる人が「暑いね~[E:sweat01]」と言うと、
右脳派は、「ホントだよね~」と答えるけれど、
左脳派は、「クーラー入れましょうか?」と答えるらしい。
・・・・・右脳派って[E:crying]
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ぼくは早速その The Right Brain vs Left Brain というページに行ってみた。すると、裸の黒いオネーサンがくるくる回っているではないか。ぼくは反射的にパソコンの明度を思い切り上げてみた。しかし、オネーサンは黒いままだった。で、どちら向きに回っているかというと、何度見ても、目をパチパチやっても、しばらく時間が経ってから見ても、左回り。totto*さんは右回りに見えるそうだ。某ヨッパライに聞くと、やはり右回りだという。ぼくは思った。同じものを見ても、人によってまったく違うように見えるのだ。よくこれで社会がまとまるものだな、と。
寿司びより
10時過ぎ、伯母を連れて病院に行った。診察によると、骨粗しょう症は順調に快復に向かっているらしかった。バナナを食べたいということで、病院からの帰り、スーパーに寄った。買い物を終え、信号を右折し、坂のトンネルを抜けると雲ひとつない青空が広がった。
「最高のドライブ日和だね。からだの調子が良くなったら海に連れてってあげるよ」 ぼくは言った。
「ありがとう。でも、今はそういう気分にならない」
暗い声で伯母は言った。ケアハウスは某団地の坂の途中にある。荷台から車椅子をおろし、伯母をのせて部屋に連れて行った。
「今日はせっかくの休みのところをありがとう」
伯母はそう言って、ぼくに10000円くれた。一応、いらない、と言って、ありがたく頂いた。これで寿司でも食おう。
「むだ遣いしなさんなよ、カメラとかに」
ぼくはギョッとした。なんで知っているのだ。くそ、某O型高気圧系妹Y子め。
ケアハウスを出ると、ぼくらはその足で海に向かって走り出した。江口浜の某店のにぎり寿司定食はけっこうウマイ。某店はあいかわらずの混雑ぶりだった。ここはいつもジジババでごった返し、ムードに欠ける。ここでうら若い美しい女性に出会ったことがない。ぼくらは、にぎり寿司定食と本日のおすすめ「鯛のカマ炊き」を注文。このカマ炊きは、数え切れないほどのカマがピラミッドのように盛ってあって、食べるのに苦労した。4人分くらいの量だと思う。腹がふくれると、いつものように海に出て、ぼんやりと歩いた。ぼくはいつもぼんやり歩く。
しあわせを呼ぶクッキー
きょうは第三日曜日。
定休日だったけど、用があって、店を開けていた。
彼女は、今日、二番目の客として現れた。
ぼくは、彼女が今、不幸な状態にあることを知っていた。
「これなーに? これ、売ってるの?」
彼女はカウンターの木箱に並んでいるクッキーを見て言った。
「クッキーだよ、しあわせを呼ぶクッキー」
ぼくはそう言って笑った。
「そう」
彼女はぼくを見つめ、少し微笑んで
「じゃあ、全部ちょうだい」
彼女は残っていたクッキーを全部買っていった。
ぼくは少し心が痛んだ。
静かな夜
夜空。
月が出ている。オリオンが見える。
さらばオリオン。
ぼくは言った。
星空はしんとしていた。
数十年後、同じ夜空。オリオンは輝いている。
ぼくはもういない。