ビールを飲んで、ベンチに寝転がって星を眺めていたら、どこからかベーコンエッグを焼くニオイがしてきた。妙な感じだ。こんな夜更けにベーコンエッグだなんて。遠い昔、アパートで暮らしていたときのことを思い出した。夜更けにベーコンエッグは似合わない。
P.S.
0時頃、屋上に上がってみると、遠くで稲妻が光っていた。
70パーセントの夜
星を眺めながらビールを飲んでたら、あたまの上を星が流れていった。
バイバイ
いいね、こんな夜は。
雲が流れ、木星が時々顔を出す。
湿度計は70パーセントを指している。
ビールは、すぐに汗になる。
いいね、こんな夜は。
ぼくは酔っ払って、ぼくの肌は帯電している。
(さわると感電するかもよ)
今夜もぼくはしあわせ
いいね、そのぼうし
インディーマンディ
今日は定休日。天気が良ければ遠くにドライブしようと思ってたのだけど、朝起きて、カーテンを開けたら曇ってたのでガッカリ。家にいてもつまらないので、映画を見に行くことにした。見たのはインディジョーンズ。思ったよりおもしろかった。ハリソンフォードもすっかり爺さんになってて、見たあと、ふと、さびしくなった。トンカツを食って駅ビルの外に出ると、なんと、青空が出ている。悔しい。時計を見ると2時過ぎ。今から海まで走ろうか、と思ったけど、そのままツタヤに行き、インディジョーンズ、失われたアークと、店の常連さんから「あんたにピッタシ。おもしろいから絶対見るべし」と念を押されていたアメリカンビューティーを借りた。家に帰っても、なんだか青空がもったいなくて、屋上でぼんやりしてた。
あしたは休みなもんで
太陽風
ある衝動
砂に足をとられながら砂丘をのぼり切る。顔を上げると遠く海が広がっている。水平線に赤い太陽が沈んでいく。
「バカヤロー」
ぼさぼさ頭のジーパン男が叫ぶ。
そう、ここは、ナニが何でも叫ばなくてはならない。叫ぶ内容に意味はない。たぶんそれが青春なのだ。という話しはどうでもいい。昨夜1時ごろ、ぼくはベッドに向かった。いつものように寝室の明りを消したその瞬間、ある激しい衝動に駆られた。
「だれだー、だれだー、だれだー」
突然、あの歌が頭に沸き起こり、どうしようもなく歌いたくなった。しかし、ぼくは必死の思いでそれを食い止めたのだ。
name
性格テスト
ぼーっと海を見ていた午後
ぼくは海に向かっていた。峠を超え、道が下りになったあたりから青空が見えてきた。港のそばの魚料理店で昼食をとったあと、海に面した某美術館に向かった。美術館の屋上で塀にもたれ、なにも考えず、ぼーっと海を眺めながらコーヒーを飲んでいた。すると、美術館の中庭で、なにやら大声がする。屋上から、中庭の人に「なにかあったんですか?」とたずねると、受け付けのご婦人と、棒を持ったオジサンがぼくを見上げ「ヘビが出たんですよ」と言った。おもしろそうなので行ってみると、パティオ横の厨房に据えてある冷蔵庫の後ろにヘビが逃げ込んだとのこと。冷蔵庫の隙間から奥を覗き込んだが、何も見えない。
「冷蔵庫を引っぱり出しますから、よく見ててください」
ぼくは棒のオジサンにそう言うと、満身の力を振り絞って冷蔵庫を引きずり出した。
「いた!」オジサンは叫んだ。見ると、1メートルくらいのアオダイショウが壁際で体をクネらしている。ぼくはオジサンの棒を借りてヘビを引っ掛け、中庭に放り出し、靴で頭を押さえつけてビニール袋に入れた。「これ、どうします?」というと、オジサンは「こちらで処分します」と言って、ヘビ袋を受け取った。やさしそうなオジサンだったので、山に帰してあげたかもしれない。ぼくは再び屋上に上がり、コーヒーを飲みながらぼんやり海を眺め、体にエネルギーが戻ってくるのを待った。風邪は治ったものの、体調がなかなか戻らない。ぼくのカラータイマーはまだ点滅し続けている。今日は定休日を利用し、体調を戻す目的でドライブしているのだった。美術館の帰り、吹上浜にも寄ってみた。砂丘にはハマゴウやノブドウが広がっており、ノブドウは満開だった。そのみすぼらしい花にジャコウアゲハがたむろしている。花のそばでじっとしていると、彼女らは恐れずに寄ってくる。ぼくのシャツの柄が花に見えたのかもしれない。しばらくすると、ぼくは彼女らと同じ絵の中にいるような、幻想的な気分になった。それはエミール・ガレのガラス器「日本の夜」に描かれている不思議な蛾の群れの中のよう。