ムスクの謎

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正円池のホテイアオイを眺めたあと、ひっそりした吹上浜公園を通りぬけ、松林の中を歩いて海へと向かった。時計を見ると、ちょうど12時。太陽は真上にあった。セミの声に包まれながらしばらく歩いていると、ふいにエロティックな匂いがぼくの鼻をくすぐった。それはムスクの匂い。なんで、こんなところでムスクが匂うのだ。ジャコウジカ?ジャコウネコ? まさか。ぼくはあたりを見回した。もちろん、何もいない。セミがうるさく鳴いているだけ。ぼくは再び歩き出した。すると、またもや草いきれに混じって夜を思わせる悩ましい匂いが。??? ぼくの頭はクエスチョンマークでいっぱいになった、と、目の前を、大きな黒いアゲハが横切った。ジャコウアゲハのオスだ。もしや。ジャコウアゲハのオスは、ムスクの匂いがするんじゃなかったっけ。そう、それが名前の由来じゃなかったか。080707_04でも、これほどに鮮明な匂いを発するものなのか。道をそれ、下生えの繁茂する林に分け入って行くと、ジャコウアゲハのメスが藪の中を器用に飛び回っていた。たまに草の葉にとまるようなので、行って見てみると、それはヤマイモに似た蔓性の植物で、ジャコウアゲハの幼虫が食べるウマノスズクサの仲間らしかった。どうやら産卵している様子。
下の写真は二週間前に撮ったジャコウアゲハのメス。
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Mr. Lonely

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となりの庭にアガパンサスが咲いている。
ヒマがあれば、ぼくは、それを眺めに行く。
その青い花の裏側に一匹のカマキリがいるからだ。
最初に見つけたのは6月28日。
もう一週間経つのに、今日もひとりぼっち。

夜更けのベーコンエッグ

ビールを飲んで、ベンチに寝転がって星を眺めていたら、どこからかベーコンエッグを焼くニオイがしてきた。妙な感じだ。こんな夜更けにベーコンエッグだなんて。遠い昔、アパートで暮らしていたときのことを思い出した。夜更けにベーコンエッグは似合わない。
P.S.
0時頃、屋上に上がってみると、遠くで稲妻が光っていた。
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70パーセントの夜

星を眺めながらビールを飲んでたら、あたまの上を星が流れていった。
バイバイ
いいね、こんな夜は。
雲が流れ、木星が時々顔を出す。
湿度計は70パーセントを指している。
ビールは、すぐに汗になる。
いいね、こんな夜は。
ぼくは酔っ払って、ぼくの肌は帯電している。
(さわると感電するかもよ)
今夜もぼくはしあわせ

インディーマンディ

今日は定休日。天気が良ければ遠くにドライブしようと思ってたのだけど、朝起きて、カーテンを開けたら曇ってたのでガッカリ。家にいてもつまらないので、映画を見に行くことにした。見たのはインディジョーンズ。思ったよりおもしろかった。ハリソンフォードもすっかり爺さんになってて、見たあと、ふと、さびしくなった。トンカツを食って駅ビルの外に出ると、なんと、青空が出ている。悔しい。時計を見ると2時過ぎ。今から海まで走ろうか、と思ったけど、そのままツタヤに行き、インディジョーンズ、失われたアークと、店の常連さんから「あんたにピッタシ。おもしろいから絶対見るべし」と念を押されていたアメリカンビューティーを借りた。家に帰っても、なんだか青空がもったいなくて、屋上でぼんやりしてた。

太陽風

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太陽から風が吹いてきて、地面に小さな渦を巻いた。
そこに黄色い花が咲いた。
だから、黄色い花に耳を近づけると風の音がする。

ある衝動

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砂に足をとられながら砂丘をのぼり切る。顔を上げると遠く海が広がっている。水平線に赤い太陽が沈んでいく。
「バカヤロー」
ぼさぼさ頭のジーパン男が叫ぶ。
そう、ここは、ナニが何でも叫ばなくてはならない。叫ぶ内容に意味はない。たぶんそれが青春なのだ。という話しはどうでもいい。昨夜1時ごろ、ぼくはベッドに向かった。いつものように寝室の明りを消したその瞬間、ある激しい衝動に駆られた。
「だれだー、だれだー、だれだー」
突然、あの歌が頭に沸き起こり、どうしようもなく歌いたくなった。しかし、ぼくは必死の思いでそれを食い止めたのだ。