カゲロウ日記

090907_01
数日前、ぼくが使っているプロバイダーのスタッフブログに興味をひく記事があった。それによると某所の某洞穴にアリジゴクがいるのだという。アリジゴクなんて、ぼくが子供のころは床下をちょいと探せば見つかるものだったが、最近見かけない。そんなわけで、急にアリジゴクを見たくなったので、某洞穴に行ってみることにした。地図を調べてみると、ぼくの家から某洞穴まで、さほど遠くない。コーヒーをポットに詰め、車は北に走り出した。山を一つ越え、曲がりくねった坂を下っていくと、思いがけずマンガ日本むかし話に出てくるような、のどかな田園風景がひろがった。都会育ちのぼくは感動して車を降り、思わず何枚も写真を撮ってしまった。そこに一人乗り電気自動車に乗った老人が通りかかったので、某洞穴はどこかと聞くと、そこの坂を下ったところだ、という。
090907_02
そこの坂を下っていくと、右手に真っ赤な鳥居が見えてきた。そこが駐車場なのだった。鳥居をくぐって狭い林道を降りていくと、小さな川が流れている。橋を渡ると今度は上り坂だ。
090907_03
坂を上っていくと、なぜか道の両脇に仁王像が立っていた。その足もとに置かれている貝殻は貝塚のものだろうか。
090907_04
さらに上っていくと、それらしい洞穴が見えてきた。
090907_05
洞穴には苔むしたつくばいが二つあって、天上から滴り落ちてくる雫で満たされていた。
090907_06_2
その、ポチャン、という音が、洞穴に涼しげに響き、まるで水琴窟。ぼくは神社仏閣には興味がないので、すぐにアリジゴクを探し始めた。
090907_07
探すまでもなく、いたるところに小さなクレーターが口を開けており、その上をハンミョウが軽やかに飛んでいる。ぼくはスリ鉢のそばに座り込んで、じっと、その底を見続けていたが、アリジゴクは姿を現さなかった。ぼくが子供だったら、アリを捕まえてきてスリ鉢に落とすだろうが、そんなかわいそうなことはできない。かも。
090907_08
ぼくはアリジゴクをスリ鉢からほじくり出すことにした。ご存知のように、アリジゴクはウスバカゲロウの幼虫だ。(ウスバカ・ゲロウではなく、ウスバ・カゲロウです)幼虫の時はアリを貪り食うが、成虫になって短い命を全うすると、地面に落ちてアリに運ばれる。自然の営みは無駄がなく潔い。うすっぺらなセンチメンタルなど入り込む余地がないほど清清しい。ナンチャッテ
090907_09
腹が減ったので、江口浜の蓬莱館で食事をとることにした。食堂は相変わらず混んでいて、10分くらい待たされた。いつものように安いほうの寿司定食をたのんだ。
090907_010
食事を終え、売店で野間池のタカエビと江口浜で取れたツキヒガイを購入。蓬莱館横の公園で、しばらく海を眺めてから帰路に就いた。
090907_011
海の上の、一見ゴミのようにみえるものを拡大↓
090907_012
元気だね~

夏の抜け殻

夏は去り、いまは秋。
夏以上に暑いけれど、夏はもうここにいない。
いまは、暑い秋。
その証拠に、写真に写った風景に夏の面影はない。
090906_01

蝉の夢

夕方、駐車場を歩いていると、枯葉に混じって蝉が二つ落ちていた。近くのケヤキを見上げると、幹に蝉がとまっている。はねはボロボロ、近寄ってもピクリともしない。夢を見ているのか、死んでいるのか
090905_01

夜と朝の間に

090904_01
眠りの浅い深夜、どこからか聞こえてくる犬の声で目が覚める。うるさくて目が覚めるのではない。その声が、あまりにも悲しげで不安になるから。

夢読み

090903_01
写真は過去のものだ。ぼくはまだ未来の写真を見たことがない。むかし撮った写真をぼんやり眺めていると、夢を見ているような気分になる。とても不思議な感覚だ。

信じる者は救われない?

いつものようにネットをフワフワ漂ってたら、こんなページに漂着。
「カナダのメディアリテラシーに学びたい~ここまでやるか…」
カナダでは、メディアを読み解く授業が熱心に行われている、という記事。以下、引用
 ————– ここから ————–
 いわば、カナダの教育は、政府はあなたたちをだますかもしれませんよ、という教育。日本の教育は、政府は信用できますよ、という教育。どちらが、本当に市民にとって有利な政府をする意欲があるかは明白だろう。 騙されるかもしれないという認識をもって、政治に接することで、政治に対する評価は厳しくなる。そのような厳しい評価に耐えた党が政権を取る…すばらしい。
 ————– ここまで ————–
コレ、ぼくが日ごろ子供たちに言ってることと同じだな、と思った。ぼくは常々自分の子供たちにこう言っている。
ぼくが言ってることが正しいとは限らないよ。テレビはもちろん、学校だってそうさ。

おいしいブドウ

090901_01
お客さんからいただいたブドウを食べながら、ぼくはいつのまにか小鳥になっていた。小鳥は無心にブドウを食べる。人間とは違い、小鳥は食べることが仕事だ。食べるのをサボると小鳥は死んでしまう。ぼくが一生懸命ブドウを食べていると、そこにオオカミが現れた。ぼくはパッと飛び立ったつもりだったが、食べ過ぎたせいで落ちてしまった。ぼくはオオカミに食べられてしまった。

夏の終着駅

090831_01
休みだったのでドライブに出かけた。昼食をとるために港の近くの料理屋に行くと、玄関の黒板に「今日の日替わり 海老カツ丼 680円」と書いてあった。カツ丼なんか食べたくなかったが「海老カツ」というのが気になって、それを注文した。カツにできるほどのエビとはイセエビであろう、と想像したからである。
090831_02
しかし、ワクワクしながら食べてみると、それは小エビの詰まったカツであった。満腹したぼくたちは、海に面した某レストランでコーヒーを飲もうということになった。しかし、行ってみると、前回と同じく「準備中」であった。もしかすると定休日を月曜にしたのかもしれない。海に面した某美術館の屋上で海を眺めていたら、アイスクリームを食べたくなったので、海の近くの公園に行くことにした。この公園の売店には、ぼくの好物のアイスモナカが売っているのである。売店に入って、アイスクリームのショーケースを開けると、モナカは、もーなかった。仕方なく、モナカなしで公園をぶらついた。
090831_03
すると、いっしょに来たヨッパライ某が、「ほら、あの匂い」と、木陰からぼくを呼んだ。行って見ると、ほのかにムスクの匂いがする。ジャコウアゲハだ。風は海から吹いている。防風林を棲みかとしているジャコウアゲハの匂いが風にのって漂ってきたのだった。
090831_04
ぼくたちは海に向かった。公園を抜け、サイクリングロードを横切り、蔦の絡まる、うっそうとした松林を歩くと、ところどころで、むせるほどにムスクの匂いがする。しかし、肝心のジャコウアゲハの姿が見えない。外は暑いし、どこかで昼寝でもしているのだろう。090831_05
ぼくらはそのまま海に抜けた。ほどよい海風が吹き続けていて、知らない国の音楽を聴いているような心地よい気分になる。しばらくぼんやりと、砂浜を歩いていた。
090831_06