Someday
つぶやくともだち
曇り空
青空
おやすみ
俺に訊け
昼過ぎ、いつもの豆腐屋がやってきた。そして
「うちもレジを置いたよ」
と、うれしそうにいった。
レジとは、お金を入れるレジスターのことである。
「なんだ、おまえのところはレジもなかったのか」
ぼくが驚いていると
「でもさー、使い方が分からなくて」
そうか、使い方が分からないのか。ぼくはうれしくなった。
大きな声で言えないが、実はぼくもよく分からないのだ。
「で、何が分からないんだ」ぼくはえらそうにいった。
豆腐屋はレジのボタンを指差しながら、
「これを押して、次はこれだよね」と、自信なさげにいう。
やれやれ、おまえはこんなことも分からんのか、という態度でぼくは知ってることを適当に教えてやった。
豆腐屋は尊敬のまなざしでぼくを見ていた。
ぼくは満足だった。人に教えるのは実に気持ちがよい。
アカシアの雨
二つの夢
ランゲルハンス島の春
ランゲルハンス島に春の風が吹き始めるころ、ぼくのアタマは決まってぼんやりしてくる。ランゲルハンス島の砂浜に開いた無数の穴から、数え切れないほどのシオマネキが這いだしてくるからだ。