北国の夜明けは早い。血圧が低いので、ゾンビのようにフラフラしながら階下のレストランに向かう。コーヒーが意外とおいしかったので助かった。外を眺めると、すぐ近くを小川が流れている。チョー寒そうだ。見ただけで背中がぞくぞくしてきた。
バスは日本最低気温の記録を持つ某町の某動物園へと走り出した。途中、土産物屋で休憩。そこで土産を物色した。棚に並んでいる、熊出没注意、と銘打たれた怪しいインスタントラーメンを眺めながら、鹿児島にはこういった類の土産はあるだろうか、と、思い巡らしたが何も浮かばなかった。あったとしても、火山弾防護ヘルメットくらいだろう。
天気がいいせいで、気温が上がってきた。土産屋の屋根に垂れ下がったツララから雫が落ちている。
某動物園は小高い丘の法面にあり、通路は全て坂であるといっても過言ではない。雪で滑らぬよう注意しながら歩いていると、道端の係員が、ペンギンの何とかが始まりますから急いでください、みたいなことを言った。何のことかわからなかったが、とにかく促されるままに進み、雪で作られた小路の傍らに並んでみた。これからペンギンの散歩が始まるのだという。しばらく待つと、右手からペンギンたちが行進して来た。こういう場合、ギャラリーの女性たちから「カワイイー!」といった喚声があがるものだが、ほとんど聞かれなかった。じっさい、恐ろしく目つきの悪いペンギンたちで、カワイイどころか、ぼくは睨まれてゾッとした。
これで全ての研修は終了した。バスは一路空港へと走り始めた。