旅立ち

夕方、息子から電話があった。空港からだ。彼は就カツのため、最終便で東京に向かう予定なのだ。何の電話かと思ったら、予約した航空便の出発日が5月21日になっている、という。今日は4月21日。予約したのはぼく。一週間ほど前、ネットで格安航空券を購入したのだった。「ああ、わるいな、オレのミスだ、わはは、気にするな」と、ぼくは素直にわびた。すると息子は、いや、確認しなかったボクが悪いんだ、と、まじめぶって言った。早くも面接モードになっている様子だ。とにかくナントカしなくてはいけない。すぐに某格安チケット会社に電話をし、5月21日、23日の往復券をキャンセル、今夜の便を探してもらった。運よく空席があり、それと帰りのチケットを予約した。すると電話の向こうのお姉さんが、入金を確認した時点で引き換え番号を連絡します、と言う。カードで払えば簡単なのだが、クレジット決済はマスターズのみなのだと。ぼくのカードはマスターズじゃない。じゃあ、どうすればいいの、と聞くと、コンビニで振り込んでください、と言う。いつまでに?と聞くと、6時までに、と、事も無げにおっしゃる。時計を見ると、5時半。あと30分しかない。走って行かなくちゃ、雨の中を。と、そこにお客様がいらっしゃった。げ~、まずい、と思いながらも、苦しい笑顔を作ってコーヒーを販売。お客様を見送り、紙に「6時10分までに帰ります!」と書きなぐってドアに貼り付け、雨の中を駆け出した。が、近くのコンビには振込み用の機械が設置されてなかった。ぼくは次のコンビニに向かって必死に走った。まるで走れメロス。次のコンビニには機械があった。機械に番号を打ち込み、支払いを終えたのが5時55分。ほっとして店に帰り、息子に電話すると「空席があったので、スカイメイトが使えたよ」と言う。なんち~、はよそれを言わんかい。ぼくは絶句した。すぐにぼくは格安チケット会社に電話をし、キャンセルを頼んだが、決済されてるので、キャンセル料が発生します、とのこと。やれやれ。二重のキャンセル料発生。心配している息子に電話をかけ、
「無事キャンセルできたよ、気をつけて行って来い」と、最後の力を振り絞って言った。
数時間後、息子からメールが届いた。
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売れてる言葉

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ずいぶん売れてるらしい、ってことで、某F少年から借りて読んでみたけど、まるでピンと来ない。なんで売れてるの?コレ

悲しくないのに涙が出た

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海のそばのレストランで寿司を食うことにした。
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いつも安いほうをたのむのだけど、今日は高いほうにした。
ワサビを利かせてくれ、とウェイターに言った。
ほんとにワサビが利いていた。食べるたびに涙が出た。
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マリモ日記その2

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マリモを入れた瓶はレジの横に置いてある。気が向くと、お客様にお見せしている。男性の反応は、概ね、へぇ~、である。手にとって、しげしげと観察する方もいる。女性は、カワイ~♪、みたいな反応。そして手に取り、なぜかシェイクする。ほとんどの女性がそうする。ぼくはびっくりする。そんなに揺さぶったら、マリモにダメージがあるんじゃないか、と心配になる。なぜ女性は揺さぶるのだろう。

wink

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闇の中で だれかがwink. そしてささやいた。
金曜の夜だよ。どこかドライブしようよ…
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ぼくが見たものは

昼過ぎ、常連のSさんがやってきた。カウンターにお客様がいらしたので、Sさんは少し離れた丸テーブルの椅子に腰掛けて待っておられた。合わせた膝を少し傾け、背筋を伸ばし、遠い一点を見つめているそのたたずまいが花のように涼しげで、とても美しく感じられた。ほかのお客様が帰られた後でそのことを話すと、にっこり微笑み、「亡くなった母が喜びますわ」とおっしゃった。しつけの厳しいお母様だったらしい。愛に裏打ちされた厳しさ。なかなか難しそうだ。

アパートは無くなっていた

Okada
むかし住んでいたアパートは今もあるだろうか。ふとそんな思いがよぎった。今から20年以上前に住んでいた東京のアパート。そうだ、某Googleのストリートビューで見てみよう。住所を入力すると、すぐさまその場所が表示された。残念ながらアパートはなくなり、かわりに堀車庫のあるクリーム色の住居が建っている。アパートの横には隣のOさんが使用する狭い階段があるのだが、なんと、その階段から降りてくるOさんが写っているではないか。太陽の位置から察するに早朝だ。おそらくゴミを捨てに行くところなのだろう。懐かしいより先に、なんとも奇妙な気分になった。