さらば自分と言おう

ある詩人が、ピカソの絵を見ると自分がいかに不自由であるかがわかる。みたいなことを書いてた。
そこでぼくもピカソの絵を見てみることにした。ネットで。
そして、ほんとだ、と思った。
自分を縛っているのは古い自分だ。古い自分がぼくを不自由にしている。
古い自分を脱ぎ捨てなきゃ

37度

壁の時計は午後3時30分を指していた。外はずいぶん暑そうだ。どれくらい暑いのだろう。ぼくはカメラを手に、お隣の庭に散歩に出かけた。こんだけ暑けりゃお客さんも来ないだろう、と勝手に決めつけて。

外壁にかかっている寒暖計を見ると、37度。微熱だ。ぐ近くにイチジクの木が植えてあって、実がピンクに染まっていた。実がない時は、欲しいとも思わないつまらない木なのだけど、ピンクの実を見たら急に欲しくなった。店に戻り、ネットで調べると、1メートルくらいの苗が2000円で売っていた。どうしよう。今植えても、実がなるのは来年の夏か、それ以降だ。

体重計?

20年近く使っていた体重計が壊れたので新しいブツを注文した。2300円。いま、説明書を読んでいるところ。体重計を買ったつもりでいたのだが、説明書には体組成計と書いてある。なんだこれ。ページをめくってみたが、よくわからない。

10年前、誕生プレゼントにもらったブツも体重計のようで違うものだった。これは体重を計るのではなく、落とすためのものだった

落書き

ニューヨークの病院の壁に書かれているという、患者の落書きを読んで、ぼくもそれなりに年をとったんだな、としみじみ思った。若いときのぼくが読んでも、ばかばかしく思えて読み飛ばしたに違いない

大事を成そうとして力を与えてほしいと神に求めたのに
慎み深く従順であるようにと弱さを授かった

より偉大なことができるように健康を求めたのに
よりよきことができるようにと病弱を与えられた

幸せになろうとして富を求めたのに
賢明であるようにと貧困を授かった

世の人々の賞賛を得ようとして権力を求めたのに
神の前にひざまずくようにと弱さを授かった

人生を享楽しようとあらゆるものを求めたのに
あらゆるものを喜べるようにと生命を授かった

求めたものは一つとして与えられなかったが願いはすべて聞き届けられた

神の意にそわぬ者であるにもかかわらず
心の中の言い表せない祈りはすべてかなえられた

私はあらゆる人々の中で最も豊かに祝福されたのだ

(ニューヨーク大学リハビリセンターの壁に書かれた患者の落書き)

痩せたカマキリ

朝、冷蔵庫から牛乳パックを取り出していると、ヨッパライ某が変なことを言った。外に枝みたいなカマキリがいるよ。ぼくは寝ぼけた頭で枝みたいなカマキリを想像してみた。むかし、ツイギーという痩せこけたモデルがお菓子のCMに出ていたが、ツイギーとは枝のことだった。痩せたカマキリか。かわいそうに。ぼくは少し悲しくなり、牛乳をレンジに入れてタイマーをひねった。しかしその後、想像上のカマキリは違う形になって像を結んだ。それはナナフシだった。ヨッパライ某に、それはナナフシだと思うよ、と言ってみたが、なにそれ、みたいな顔をしただけだった。外に出てみると、かわいくないムシが葉っぱにとまっていた。ちなみに左が頭。右が頭だったら、少しはかわいいんだけどね

限りなく透明に近い

夏を快適に、かつ楽しく過ごすには適切な小道具が必要だ。ビーサン、麦わら、花火、ソーメン、金鳥蚊取り線香、スイカ、ラテン音楽、ビール、etc、そして、ウォッカ。というわけで、ヨッパライ某に頼んで、いつもの安いウォッカを買ってきてもらった。冷蔵庫に果物があったら、それを入れて飲もうと思ったけど、なにもなかった

団地の夏祭り

店から帰って駐車場に車を停め、玄関を開けると「屋上でビールを飲もうよ、花火が上がるらしいよ」と、ヨッパライ某の声。今夜は団地内の夏祭りらしい。屋上に上がり、花火が上がるのを待つ。が、なかなか始まらない。中止なのかもよ、と言って、階下に降りて夕食の準備を始めたところで、ドカン、という地響き。あわてて屋上に上がり、しばし花火見物。たまや~♪

火星の写真

風呂から上がって屋上に出ると、南の空に赤い星が不気味に光っている。薄雲が広がっているらしく、見えるのはその右にある土星、そして、かなり西に傾いてしまった木星。頭の上ではアルタイル、ベガ、デネブが鈍く光っている。15年くらい前の夏、この赤い星は、今と同じくらい輝いていた。なのに不思議なくらい、記憶にない。記憶が風景とともに残るようになったのは、ブログを書き始めてからのように思う。上の写真、スマホで撮ったんだけど、ひどいピンボケ。ピントが合ってる写真もあったんだけど、なんだかこの写真が一番気に入ってしまった

open

というわけで今日、梅雨が明けたんだそうです。そんなわけで、某コーヒー店のレジの上では、おなじみの火星人が風にゆらゆら

梅雨明けの記念に、一年間冷蔵庫に眠っていたフルーツみつ豆を開けました。これにラム酒を入れて食べると、ココロの梅雨も同時に明けるのです

夕日に向かって叫べ

朝、ヨッパライ某が言った。
夜中に叫んでたよ、いたい、いたい、って。
いや、ぼくは一度しか叫ばなかった。
夜中に寝返りを打った時、肋骨のヒビのせいで胸に激痛が走ったのだ。
思わず、いたい、と叫んで目が覚めた。
男はめったに叫ばない。まして二度叫ぶのはカッコ悪い