ある詩人が、ピカソの絵を見ると自分がいかに不自由であるかがわかる。みたいなことを書いてた。
そこでぼくもピカソの絵を見てみることにした。ネットで。
そして、ほんとだ、と思った。
自分を縛っているのは古い自分だ。古い自分がぼくを不自由にしている。
古い自分を脱ぎ捨てなきゃ
37度
体重計?
落書き
ニューヨークの病院の壁に書かれているという、患者の落書きを読んで、ぼくもそれなりに年をとったんだな、としみじみ思った。若いときのぼくが読んでも、ばかばかしく思えて読み飛ばしたに違いない
大事を成そうとして力を与えてほしいと神に求めたのに
慎み深く従順であるようにと弱さを授かった
より偉大なことができるように健康を求めたのに
よりよきことができるようにと病弱を与えられた
幸せになろうとして富を求めたのに
賢明であるようにと貧困を授かった
世の人々の賞賛を得ようとして権力を求めたのに
神の前にひざまずくようにと弱さを授かった
人生を享楽しようとあらゆるものを求めたのに
あらゆるものを喜べるようにと生命を授かった
求めたものは一つとして与えられなかったが願いはすべて聞き届けられた
神の意にそわぬ者であるにもかかわらず
心の中の言い表せない祈りはすべてかなえられた
私はあらゆる人々の中で最も豊かに祝福されたのだ
(ニューヨーク大学リハビリセンターの壁に書かれた患者の落書き)
痩せたカマキリ
朝、冷蔵庫から牛乳パックを取り出していると、ヨッパライ某が変なことを言った。外に枝みたいなカマキリがいるよ。ぼくは寝ぼけた頭で枝みたいなカマキリを想像してみた。むかし、ツイギーという痩せこけたモデルがお菓子のCMに出ていたが、ツイギーとは枝のことだった。痩せたカマキリか。かわいそうに。ぼくは少し悲しくなり、牛乳をレンジに入れてタイマーをひねった。しかしその後、想像上のカマキリは違う形になって像を結んだ。それはナナフシだった。ヨッパライ某に、それはナナフシだと思うよ、と言ってみたが、なにそれ、みたいな顔をしただけだった。外に出てみると、かわいくないムシが葉っぱにとまっていた。ちなみに左が頭。右が頭だったら、少しはかわいいんだけどね
限りなく透明に近い
団地の夏祭り
店から帰って駐車場に車を停め、玄関を開けると「屋上でビールを飲もうよ、花火が上がるらしいよ」と、ヨッパライ某の声。今夜は団地内の夏祭りらしい。屋上に上がり、花火が上がるのを待つ。が、なかなか始まらない。中止なのかもよ、と言って、階下に降りて夕食の準備を始めたところで、ドカン、という地響き。あわてて屋上に上がり、しばし花火見物。たまや~♪
火星の写真
open
夕日に向かって叫べ
朝、ヨッパライ某が言った。
夜中に叫んでたよ、いたい、いたい、って。
いや、ぼくは一度しか叫ばなかった。
夜中に寝返りを打った時、肋骨のヒビのせいで胸に激痛が走ったのだ。
思わず、いたい、と叫んで目が覚めた。
男はめったに叫ばない。まして二度叫ぶのはカッコ悪い