風邪立ちぬ

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七日の間、ぼくと遊んだ風邪は、またどこかに旅立った。
風邪はぼくに手を振り、にこっと笑って言った。
とても楽しかったよ。またいつか遊ぼうね。
ぼくは返事をしなかった。

レンズの向こうはどんな顔

もし、自分の写真を撮ることができるなら、それはとても楽しいことだろう。つまらない悩みにとらわれ、頬杖を付いて、憂鬱そうに遠くの一点を見つめている自分。ミノムシのようにふとんにくるまって頭の先だけ外に出している姿。背中を老人のように曲げて海辺をとぼとぼ歩いている哀れな男。だれもいない山奥の湖で、日がな一日、ボートをのんびり漕いでいる謎の人。

かぜ男のつぶやき

絶好調のときを100とするなら、ここ一週間のぼくの体調レベルは58くらいといえよう。月曜日には体温も38.5度まで上昇した。さいわい、この日は定休日だったので、ひたすら家で寝ていた。さて、今回の不調で一つ気づいたことがある。体調レベルが下がると、仮初にも人にやさしくなるのだ。これは無意識的なものであって、わざとそうするのではない。いくつかの理由が考えられるが、その一つは、おそらくこうである。一般に、やさしい人は愛されるので、愛のこもった処遇を受けられる確率が高くなる。つまり、病気になるとぼくは、自分でも気づかぬまま一芝居打つのだ。だれからも愛されそうな、柔和で優しい男を。これが太古の昔より備わった動物的本能によって発動されるプログラムだとしたら、生物とはかなり強かな功利主義者だと思う。

Aさんからのレポート

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昨日の新燃岳の爆発的噴火、すさまじいですね。予期せぬ出来事に驚いてます。ぼくにとって霧島はドライブコースの定番だったのですが、これから先、どうなるんでしょう。御池でボートを漕げなくなったりしたら、さびしすぎます。
昨日、偶然にも、あのAさんが、新燃岳の近くにある湯治場で和んでいたらしいのです。
以下、Aさんからのレポート。(写真も)
「偶然、新燃岳が地響きを立てて噴火する場面に」
その日はたまたま新燃岳近くの新湯温泉に行ってました。新燃岳が噴火しているのは新湯温泉に向かう途中、牧園辺りから見えたので、「大丈夫だろうかな」という不安をかかえてはいました。午前中現地に着くと噴煙は確かに上がっていましたが、恐怖を覚えるほどのものではなかったので、ゆっくりと温泉に浸かっていました。
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そうしている内にお昼過ぎ3時ころに、温泉宿の奥さん達が外に出て「新燃岳が大変、大変・・・」と騒ぎ始めたので、宿の外から新燃岳を見上げると、普賢岳の火砕流を思い出すくらいの噴煙が目の前に広がっていました。幸いなことに風向きが逆だったので、直接温泉の方に火山灰などが降ってくることはありませんでした。ちょうど帰る時間だったので、車に積んでいたカメラで写真を何枚か撮りました。最初の写真は宿から少し離れた所から撮ったものです。カメラで実際に煙が湧き上がる姿を望遠レンズで覗いていると、生き物のように見え、好奇心と共にやはり恐怖を感じました。もし、風向きが逆だったらと思うと後でぞっとしました。

暖炉ぽっちい

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暖かい土地で生まれ育ったせいだと思うのだけど、寒い日が何日も続くときの楽しみ方を知らない気がする。たとえば、雪の降る夜は楽しいペチカ、なんて歌を聞いても、いまひとつピンとこない。
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これは伊集院の紀行窯さんちにある暖炉。
紀行窯さんのブログから勝手に拝借してきました(汗)
こういうのが家にあったら、寒い冬も少しは楽しいだろうな~
暖炉の前にロッキングチェアを持ち出し、お酒をちびちび飲みながら長編探偵小説なんか読んでみたり。
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奥様が作られたカップ。水玉模様がとってもかわいい。
紀行窯さんのホームページ
http://kikougama.web.fc2.com//

微熱少年の夜

静かな寝室。
小さな音が、ずっと聞こえている。アフリカの太鼓のように。
それはストーブの上のヤカン。
遠い昔の記憶。
子供の頃、かぜをひいて寝込んだ記憶。
こわい目で見おろす天井の木目。
おかゆに真っ赤な梅干。