故郷は地球

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ブランコをぐんぐんこいで、ついに引力をふりきり、月まで飛びそうになったとき、ぼくは地球を意識する。地球との別れをはっきり感じるからだ。ブランコは地球を思い出させる乗り物だ。おなじく地球を意識させるベンチがある。なぜそうなるかは分からないがとにかくそうなる。

ウソが言えないぼく

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某植物園の今月の目玉はチューリップ展。屋内庭園の入り口は数千本のチューリップで赤く染まっていた。ナニナニ展、ナニナニ祭りと聞いてどこからともなくゾロゾロ集まってくるのがオバチャンたち。屋内庭園は集まったオバチャンたちの甲高い笑い声で熱気を帯びていた。ぼくはオバチャンたちのじゃまにならぬよう、気配を押し殺してそっとチューリップに近づき、数枚写真を撮った。と、突然、近くのオバチャンが叫んだ。あたしとどっちがきれい?アハハハハ

青春からの脱出

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高校を卒業した頃の話だ。友人Tは卒業と同時に免許を取り、数万円の中古車を買った。それはフェローマックスという2サイクルエンジンを載せた軽自動車であった。ある日、友人Tは、その車で一生懸命スピンターンの練習をしていた。今の若い男達には理解できないと思うが、当時、高度なテクニックで車を走らせることが女にモテる条件の一つだと信じられていたのである。彼が練習しているとき、ぼくはその隣に座っていた。何回目かのトライで見事にスピンターンが決まった時、ハンドルの付け根付近から白い煙がもうもうと噴き出し、室内に充満した。ぼくらはあわてて車から脱出したのだった。
写真の車は、先日息子が10万円で買ってきた軽自動車。先日姉の車を土手に激突させ、廃車にしてしまった。ぼくに似ず、運転が下手くそなのである。しばらくは安い車に乗るのが正解であろう。

夜中の作業

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注文してあった洗濯機用のVベルトが届いたので交換した。蛇口を閉めずに水圧のかかったホースを外してしまい、ずぶ濡れになった。

Kind Of Blue

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青の混じった灰色が好きだ。先日、ドライブに行って、丘の頂上から見た海の青濁色がとてもよかった。でも、その配色の具合が悪いと急に憂鬱になる。

恋の味

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ほのかに甘酸っぱいカルピスは初恋の味。ならば、甘くほろ苦いキンカン漬けは何の味?老いらくの恋? まさか。しかし、きっとなにかの恋の味。そんなどうでもいいことをあれこれ想像しながら食べるキンカン。

愛の選択

わが家の洗濯機はけっこう古い。家を建てたときに買ったのだから、もう20年になる。夕方、自宅から電話があった。洗濯を終えて取り出した洗濯物がビショビショだ~。どうやら脱水ができなくなったらしい。帰宅して夕食をとり、今日最後の元気をふりしぼって洗濯機を持ち上げ、横に寝かし、中を覗き込んだ。モーターを手で回してみると、案の定、Vベルトがスリップする。ベルトを交換すれば元のように動きそうだ。ベルトに MITSUBOSHI M-19.8 と書いてあったので、それをメモ。とりあえず応急措置として、ベルトとプーリーを布でよく拭き、滑らないようにした。洗濯機を起こし、さっそく、濡れたバスタオルなどを投げ込んで脱水ボタンを押してみた。脱水機は広大な平原をまっすぐ突き進む竜巻のように回転し、行く手のかたちあるものを残らずなぎ倒し、片端から空に巻き上げ、理不尽に引きちぎり、完膚なきまでに叩きつぶした。そう、彼女は恋に落ちたのだ。まるでスプートニクの恋人のように。つづきません