さよならぼくのヒゲソリ

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それはある寒い朝のことだった。ぼくは寝ぼけマナコで洗面所に立ち、ヒゲソリのスイッチを入れた。しかし彼はピクリともしなかった。昨日充電したばかりなのに。ぼくは彼の顔を見つめながら懐かしく思い出していた。そうだ、彼との出会いは某Y電気だったな。あれは何年前だったろう。もう遠すぎて思い出せない。ぼくはスイッチを切り、彼をそっと洗面台に置いた。さよならぼくのヒゲソリ。

正月モード4日目

天気図を見ると典型的な冬型の気圧配置。今日も寒い一日になりそうだ。そんなわけで温泉に出かけることにした。南にあるいつもの温泉でもよかったのだが、おととい、その近くに行ったばかりなので、今日は違うところに行くことにした。
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のんびり露天風呂に浸かっていると、冷たい風とともにアラレが降ってきた。今日はほんとに寒い。温泉を後にし、前から行ってみたかった中華料理店に行った。あいにく満席で、ずいぶん待たされた。帰りにホームセンターに寄り、園芸用の土と肥料を買った。明日、父の誕生日なのでそのプレゼント。
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父の趣味は家庭菜園なのだが、菜園がビルの屋上にあるので、土のことでいつも苦労している。最近、あまり重いものを担いで運ぶ機会がないせいか、土と肥料を屋上に上げるのはけっこう難儀だった。

正月モード3日目

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昨日あんなに気前よく晴れていたのに、今日は一転して冷たい風の吹く冬空。もしここが東京だったら、襟巻きをし、コートを羽織って街に出かけただろう。正月も今日で三日目。今日はのんびり家で過ごそうと決めていた。ソファーに座り、久しぶりに音楽を聞いた。最初にかけたのは年末に買ったバッハのオルガン名曲集。BWV639は繰り返し聞いた。もう少しスローなテンポだったらもっといいのに、と思いながら。日ごろほとんど読まない新聞もぱらぱらめくってみた。報道記事は見ず、読み切り小説があったのでそれを読んだ。その小説の選評にこうあった。「日々の強固な連続性の中にあって、軌道の修正を可能にするものは、大きな動機ではなく小さな違和感にこそある」
新聞を閉じ、部屋に戻って書棚をあさり、吉行淳之介の「夕暮れまで」を半分くらい読んだ。人はみな違う。男と女ならなおさらかもしれない。みな勘違いしながら生きている。どうでもいいけど今日は寒かった。

正月モード1日目 モードチェンジ

ふっ、今日から新たな気分で生きて行こうと思うぜ。だから今日は、A LONG VACATION 4日目、とはならない。こう書いてしまうと昨日を引きずることになってしまうからね。そして例年だと元旦にはレッド・ツェッペリンを聞くのだが、春の海を聞いた。しぶい。雅だ。しかし、気のせいだと思うが、急に年をとったような錯覚に陥いってしまうのは難点と言えなくもない。ところで今日は昨日に引き続き、家の大掃除を行った。いばるつもりはないが、元旦に大掃除をしているのはぼくくらいのものだろう。というわけで、最後に残されていた大掃除のチャンピオン、台所、に立ち向かった。
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まず換気扇を分解し、油脂の固着したシロッコファン、吸着ネット、ガスレンジの受け皿、五徳などを特殊な洗剤に浸け置きした。油脂分が溶け去るのを待つ間に壁面タイルの油汚れをこすり落とし、レンジ、流し台を磨き上げる。
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10時過ぎに開始したが、作業が終了したのは日没前だった。疲れた。真っ白に燃え尽きたぜ。もうブログを書く元気もない。というわけで今日からモードチェンジをする予定でいたが、明日からにした。

A LONG VACATION 3日目

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今日で今年は終わるそうだ。これは人間世界の話であって、ネコや犬やスズメ、ミミズ、異星人などには関係ない。ちなみに、わが家のネコの場合、正月は特別な食事が振舞われる。

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今日は全国的にソバを食う日なので、そば屋をやっている某弟に予約をしようとしたが連絡が取れず、急遽、お世話になっているみさき茶屋さんに電話をし、店まで取りに行くことになった。

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みさき茶屋さんは12年間営業されていたが、今日で閉店されるとのこと。とても残念な話だ。

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みさき茶屋さんの近くにあるホームセンターで、いつものように換気扇用の洗剤を購入。

わが家の換気扇は特殊なので、この洗剤がないと、ぼくの貴重な休日は派手に侵食され、大変な目にあう。

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家に帰り着き、車の掃除をした。風もなく、暖かくて気分よく掃除ができた。夕方、今年最後の珈琲を淹れた。ちなみにマンデリン。

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ヨッパライ某と二人で今年最後の夕日を眺めた。
来年もよろしく!

A LONG VACATION 2日目

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8時5分に目が覚めた。とても天気がいい。ドライブに行かなくては、と思ったが、今日は家の大掃除。午前中に風呂掃除を終え、午後から棚の雑巾がけなどをしていると、リビングのあたりから耳の具合が悪くなりそうな音楽が鳴りはじめた。ぼくは別の部屋でカントリーを聞きながら作業をしていたのだが、それが聞き取れなくなるくらいの音量だ。何事かと思って見に行くと、息子が変な音楽を聞きながら窓を拭いている。外側を拭き終わったので、家に入り、窓の内側を拭き始めた模様だ。それにしてもひどい音楽だ。雑音にしか聞こえない。疲れる。掃除が終わりに近づいた頃、娘が遊びに出て行った。例年どおり、自分の部屋だけを一生懸命掃除していたようだったが、家を出る際、「2階のトイレ、掃除しておいたからね」と言った。明日は雨かもしれない。作業をほぼ終え、屋上に上がるとちょうど夕日が沈むところだった。店から連れ帰ったメダカを持ってきて写真を撮った。
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もしもパイプオルガンが弾けたなら

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潜水艦ノーチラス号にはパイプオルガンが装備されている。それを弾くのは謎の人物、ネモ艦長だ。潜水艦は深い海底をパイプオルガンの重厚な音色を響かせながら航行していく。ご存知のように、パイプオルガンは送風機とパイプ群で構成される。実を言うと、ぼくも送風機とパイプで構成された装置を毎日操作している。しかし、そこに重厚な音楽を奏でるための鍵盤はない。もし鍵盤があれば、ぼくはそれをドラマチックに弾いただろう(夢の中で)。今日はその装置を分解し、中のススを落とした。

仕事納めの夜、F少年用と自家用の豆を焼く

某珈琲店の仕事は今日でおしまい。珈琲豆は急ピッチで売れ続け、ふと気づけば残っているのはマンデリン140グラムとグレートマウンテンが200グラム少し。あわててマンデリンを自家用に確保。でもこれだけじゃ正月用には足りない。皇徳寺店は昼に完売したというし、ほかの珈琲店で豆を買うのも変な話だ。困ったことになった。と、そこに某F少年が現れた。豆は売り切れて、もうないよ、と言うと、あからさまに不機嫌な顔になった。グレートマウンテンならあるけど、と言うと、首をひねっている。ぼくもそうだが彼は深煎りの豆が好み。グレートマウンテンの煎りは浅い。と、そこに、浅煎り豆が好きなMさんが現れ、残ったグレートマウンテンを買っていかれた。ついに豆はなくなった。カウンターに気まずい沈黙が流れた。ぼくとF少年の抱えている問題は同じだった。ぼくはふいに思いついたように明るく言った。
「今から焼こうか」
彼が欲しいのは深煎りのタンザニア・アデラで、ぼくもそれを気に入っている。時計は7時を回ろうとしていた。
明日は店の大掃除。今年最後の出勤です。