通勤途中の山に山桜が咲いている。それが山桜とわかるのは咲いている時だけ。散ると山にとけてなくなってしまう。そして一週間もしないうちにぼくも忘れる。
片思いの友人たち
マリモ日記その11
空気の底
草原は輝く
スパゲッティの正しい巻き方について
Back to the Future
こっちをむいてよ
ぼくと月だけ
みんな寝ている。
ぼくは風の音と月が気になって寝られない。
ドアを開け、外に出て月を見ている。
起きているのは、月とぼく
機械とお話
ずいぶん昔、ぼくがまだ学生だったころの話。ある夜、となりの部屋から妹の怒鳴り声が聞こえてきた。「だめだめ、あー、ばか。もう」ぼくはびっくりした。こんな夜中にいったい誰と話しているんだろう。だれか泊まりに来ているのだろうか。翌日得た答えは意外なものだった。妹はその日テレビを買い、自分の部屋に置いたのだ。そしてその夜、イヤホンをしてサスペンスドラマを見ていたのである。彼女はドラマの主人公に忠告を与えていたのだった。さて、今度iPhoneに音声認識機能「Siri」の日本語版が備わるのだそうだ。ぼくは持ってないからどうでもいいが、いわく、「いつもと同じ自然な話し方でSiriに話しかけて、したいことを伝えましょう。Siriはあなたの言葉だけでなく、その意味も理解し、音声で返事もします」のだそうだ。ぼくはこのニュースを読んで、忘れていたあの時の情景が浮かんだのだった。