3コア対シングルコア擬似マルチタスク

昼過ぎ、おしゃべりに夢中になりながら店に入ってきたのはいつもの仲良し3人組だった。彼女らはマシンガンのようにしゃべりつつカウンターに腰掛け、トイレットペーパーを手繰るように間断なく話し続けていたが、その一人がぼくと目が合うなり、ね、でしょう?と話題を振ってきた。それに答えようと考えているとほかの一人が別の話題を投げてきた。そして最後の一人が、そういえばほら、と、何かを思い出してぼくの目を見据えた。ぼくはストップウォッチ片手にコーヒーをいれつつ、それぞれへの回答を並列駆動の脳内プロセッサで処理していたが、その能力はとっくに限界に達していた。いつものことだが、彼女らの目的はそれなのだった。

江ノ島

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午前中、なぜか江ノ島のことをずっと考えていた。ぼくにとって江ノ島は特別な場所
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夕方、何の前触れもなくyokohama美少女がやってきた。彼女は天災のように忘れた頃にやってくる。写真は、最近彼女が愛用しているフィルムカメラ
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美少女は土産の入った袋を差し出し、今度の土産は変なのじゃないよ、きっと、すごく喜ぶと思う。といった。開けてみると、それは江ノ電サブレというお菓子であった
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今日、江ノ島のことをずっと考えていたぼくはぎょっとした。なにか特別な力が働いているのかもしれない。とにかく、ものすごくうれしかった
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そこにバイク乗りの常連さんがやってきてヨコハマの話になり、カメラの話になって、バイクを見てみたい、ということになった

ぼくを待ち続けるドア

考えている
考えている
地下室への階段を下りていく
下りていく
気がつくとぼくは薄暗い廊下を歩いている
歩いている
やがて古びた木製のドアに突き当たる
そのドアは初めて見るはずなのにとても懐かしい
ぼくはためらうことなくノブをつかみ、ドアを開ける

分解人間ベム

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オレは分解人間ベムだ。目の前に機械があると、つい分解したくなって、うずうずする。昔は良かった。ねじ回しがあれば、たいていの機械は分解できた。しかし今は違う。簡単に分解できたのは遠い昔の話になりつつある。まず、ねじが見当たらない。隠しねじといって巧妙にねじが隠されていることがあるが、それはまだいい。最近では、接着剤で接合面が閉じられ、分解不能になっているものがある。某社のコーヒーメーカーがそうだった。温度ヒューズが飛んだのだろうと目星を付け、分解修理しようとしたが、その手がかりがない。接着剤で完全に閉じられていたのだ。分解できない機械の悲しさをぼくはそのとき味わった。なお、この悲しさは女性には分からないと思う
写真はお客様からお預かりして修理中のコーヒーミル

黄色い花

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台風が遠ざかり、雨が止んだので近くの畑をぶらぶら歩いた。
作物の一部は昨夜の風でくしゃくしゃになっていた。
くしゃくしゃの中の黄色い花。
花はいつも笑顔を忘れない

だからピンボケ

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サラリーマンだったころの話。
今とは違って、撮った写真は写真屋でプリントしていた。
風景写真が主だったが、女性たちの写真もずいぶん撮った。
女性を撮るのにはコツがあって、ピントを少し手前に外す。
ピンボケの写真をプレゼントすると、たいへん喜ばれた。
そんなわけで、ぼくの手許には彼女らの写真は残っていない