ICUを出て以来、毎晩2~3時間おきに目が覚める。すぐに寝付くのだけど、2時間ほどで体のあちこちがしびれ、痛くなって起き上がる。廊下を散歩したりトイレに行ったりして痛みが引いてきたら、また寝る。すぐに寝付くのだが、2~3時間後に体が痛くなってまた目が覚める。このサイクルが朝まで続く。原因は胸の傷。長く寝ているとなぜが痛み出し、寝返りが打てなくなる。看護師は痛み止めを出すから無理せず飲んで下さいというのだけど、なんとなくカッコ悪い気がして断っている。
じっとしているのはとても疲れるのです
主治医の話では、いつでも退院できる状態だけど、不整脈が少し出ているので、もう少し様子を見たい、とのことだった。ぼくとしては明日にでも家に帰りたいのだが、心臓が勝手にやっていることなのでどうしようもない
アイ スクリーム
微熱少年の午後
今の病室に移る前、入口のベッドに高齢の男性が寝ていて、天井の一点をまばたきもせずじっと見つめていた。その目が今も忘れられない。あれは未来のぼくだ。その時なぜかそう思った。未来のことは分からないが、ここにいると、これまでとは違う未来が時々見える
スタート
リハビリのメインは自転車こぎ。こいでも進まない役立たずの自転車に乗って20分間、60回転/分をキープしながら見えないサイクリングロードを黙々と走る。途中、先生がニヤニヤしながらペダルの負荷を上げていく。苦しくはないけど、運動不足を痛感する。退院したら体を作り直そうと思っていたのだけど、既にそれは始まっている
長く狭いトンネルを抜けた気がした
あの頃はよかった
午後、胸に貼り付けられた縦一文字のデカい絆創膏が取れた。傷口はちゃんと測ってないけど、多分30センチ以上あると思う。学生の頃だったら、友人たちに見せびらかしてドヤ顔できたのに。今はこれを見せる相手が見つからない。とても残念だ。
(写真は割愛しました)
リブート中
今日は日曜日。そのせいか病棟は静かだ。もっともICUはどうか知らないが。あそこは昼夜関係なくアラートが鳴りっぱなしだった。午前中、採血のあとレントゲン。その後予定が入ってなかったので看護師にお願いして頭を洗ってもらった。1週間ぶり。生まれ変わったようにスッキリした。コーヒーも買ってきて飲んだ。いい気分。しかし、ぼくの中のエンジンが回らない。何か理性的な抑制がいつも以上に働いている。それを払って点火しなければ。ぼくはiPodを起動させ、ネットにつなぎ、ある音楽を探し始めた。それはVan Halen。アルバムは持っているが、ぼくのiPodにはVan Halenは入れてない。ぼくは昔、Van Halenを大音量で聴き過ぎて難聴になり、しばらく病院に通うことになった。しかしVan Halenは大音量で聞かないと意味がない。できれば大型スピーカーで。ぼくはJBLで聞いていた。大音量で聞くには音質がよくなければならない。iTunesStoreで探してみると案の定、アルバムのいくつかがRemasterされていたのでダウンロード。久しぶりに聞くVan Halen。自分でも驚いたのだが、目頭が熱くなって泣きそうになった。既に2時間以上大音量で聞いている。困った。分かっちゃいるけど止められない
自分はもっとタフだと思っていた
昼過ぎにICUから帰ってきました。簡単に考えていたけど、手術から覚めたときの苦しさといったら。
痛いし、呼吸が苦しいし、訴えようにも喉に何か突っ込まれていて話すこともできない。目を閉じるとリアルなペイズリー柄の3D空間が渦巻いている。何これ。こんなハズじゃなかった!なんで?と言うわけで、執刀医の説明書きを手がかりにネットでちゃんと調べてみた。今回の手術は大動脈基部置換術というもので、複雑で難しい手術との事。ぼくも冠動脈を人工血管に縫い付けるなんて人間技じゃないように思えた。しかも重症だったから執刀医は大変だったかも。今、病室でこれを書いてますが、おなかに刺さっていた3本のパイプや首と手の針の付いたチューブも全部取れて、あとは胸から出ている3本の電極線だけです





