苦い記憶

大人になれば、だれだって苦い思い出の一つや二つはある。
それが大人というものだ。
大人になれば苦さに強くはなるだろう。
だが、苦さに鈍くなったらオシマイだ。
心を鎧ってはいけない。
苦いものは、いつだって苦くなくてはいけない。
だれかが言った。
やさしいだけでは生きていけない。でも、
やさしくなければ、生きている価値がない。
ぼくにも苦い思い出がある。
それは、ある暑い日の午後だった。
ぼくは喫茶店の隅の席に座り、アイスコーヒーを頼んだ。
冷たい琥珀の液が喉を伝ったとき、ぼくは目を瞠った。
その苦味は「輝ける闇」とでも呼びたくなる、高く深いものだった。
今日、その苦味を再現するべく、ぼくはアイスコーヒーを作った。
しかし、何かが足りない。
だが、完成は近い。と思う。
完成したら、
スーパーギャラクティカマグナム Z アイス。
という名前にしようかな~と思っている。

Fly me to the moon

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三日月が好きな人は多い。ぼくも、こどものころは三日月が好きだった。でも今はそれ程でもない。しばらく眺めていると退屈する。数年前までは半月が好きだったけど、今は満月がいい。いつまで眺めていても飽きない。それだけのことです。

酔わせてくれよ

ここのところ、うまく酔えない。酒を飲んでも酔えない。仕事の帰り、カーラジオのスイッチを入れたら、Van HalenのPanamaがかかった。よっしゃー、と、ボリュームを上げた。窓も全開、いい気分。だが、酔えない。なぜだろう。ナニかが邪魔してる。

ジルバを踊ろう

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人間が人間らしく生きるのに愛が必要なように、ボクがボクらしく生きるためにはバジルが必要だ。先月、バジルの種をプランターに蒔いたところ、たくさんの芽が出た。が、鳥が飛んできて全部食べてしまった。そんなわけで、今日、某緑化センターに行き、一株180yenのバジルの苗を3株買ってきたのだった。3株並べて植えると、だれだって踊りたくなるのが人情だ。バジルバジルバジル。ほらね

ユーミンみたいな午後

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どこかいいところ、ないけ~
カメラ少女は行く先を見つけ出せず、悩んでいた。
桜島は?
ぼくは言ってみた。
桜島? ナニがあるのけ。
と、カメラ少女は言った。彼女はいい被写体を探しているのだった。
灰、とか、いろいろ。
ぼくは頭に浮かんだものを言った。
いつもなら、もっといいものが浮かぶのだが、なぜか今日は灰が浮かんでしまった。ぼくに聞いても無駄だと悟った彼女は、コーヒーを飲み干し、「さーて」といって、席を立った。

土曜日

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金曜日までは比較的平穏だった当店も、土曜になると何かが急に狂ってくる。時空上の位相のズレみたいなのが生じるのだ。当店は10時開店だが、9時には常連のパチプロおじさんがカウンターに座っていた。おじさんは、店に来るたびに、ぼくにいろんなものをくれる。数日前はキャラメルをくれた。ぼくが一生懸命マメを焼いているかたわらで、おじさんはコーヒーを飲みつつ、地球温暖化問題について熱く語った。おじさんによると、地球温暖化は人類による二酸化炭素排出が原因なのだという。ほんとうだろうか。おじさんはバスの時間が来て帰っていった。10時を過ぎる頃、ぼくは本日最後のマメを焼いていた。すると、とても懐かしい人が現れてカウンターに座った。さっき上陸したばかりだという。彼は何年か前まで当店の常連さんだったが、今は南の島の住人になっている。そう、あのころはみんな若かった。あの子も、あの子も(遠い目)。彼が帰ると、入れ替わりに某電脳世界の知人K氏が現れた。彼が名乗りをあげるまで、まったくダレなのか分からなかった。そこに電脳世界のM氏が追うように登場し、二人はカウンターで肩を並べた。二人は電脳世界上では親しく話を交わす間柄であったが、カウンターに並んだ二人は赤の他人であった。ぼくが紹介しない限り、二人は永遠に他人のままのように見えた。このままでも悪くないな、と思ったので、ぼくは黙っていた。
つづく

チガウ感じ

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「出てたでしょ!」
と、彼女は言った。
「うん。かっこよく撮って、っていったのにアレだもんね」
ぼくは言った。
ガハハハ、と彼女は笑った。
「買ったの?あの雑誌」
ぼくは言った。
「うんにゃ、ダンナの店で取っててね、ダンナが見つけてシャメで送ってくれた。そんで、茶々を入れようと思って来たワケよ。ガハハ」
「今日はいつもとカンジが違うね」
ぼくは言った。
「丸くなった。太った」
撮った写真、ブログに載せるから見てね。
ぼくは言った。

憂うつな、あめ

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今日みたいな雨の日は交感神経の働きが低下して、フツーの人ならしょんぼりする。でも、しょんぼりして欲しい人に限って、こんな雨の日もバカみたいに元気で声も大きかったりするので、ぼくはもっとしょんぼりする。こんな日はアメでもナメながら晴れるのを待つしかない。