遠い道
ずいぶん長いこと映画を見なかった。見たいと思う映画がなかった。いい映画はたくさんある。でも見たい映画はそれとは違う。ぼくは見たいと思わない映画は見ない。最近、特にその傾向が強くなった。ジジーになってきたことの表れかもしれない。映画は映画館で見るのがいいに決まっているのだけど、めんどうなので、DVDになってから自宅のプロジェクターで見る。この前、某F少年がそのブログに感想を述べていた「グレート・ビューティー」という映画を借り、久しぶりにプロジェクターに灯を入れた。おもしろかった。フェリーニの「甘い生活」みたいなものを想像していたけど、そうではなかった。完全版「ニューシネマパラダイス」(決して劇場版ではなく)のサルヴァトーレと同じく、成就しなかった恋がその主題となって浮かび上がる。人間とは何か、人生とは何か。おそらく小説家の描くテーマはそれだろう。もし小説家が65歳を過ぎたある日、思いがけないきっかけでその答えの片鱗を嗅ぎつけたとしたら
永劫回帰的祝日の夜
家に帰り着き、車を車庫にとめて気づいた。助手席に積んだはずのカバンがない。どうやら積み忘れたらしい。おそらく店の階段の手前に置いたままだ。現金が入っているので、そのままにはしておけない。ぼくは来た道を引き返した。なんという無駄だろう。同じことをただ繰り返すのは虚しい。ぼくは悔しかった。しかし、車を走らせていると、同じ道なのに、さっきとは違っていた。それは、ぼくが今を生きているからだった。過去を生きていないし、未来も生きていない。ぼくはいつのまにか今を生きていることに気づいていた
f/2.4
A7
一週間ほど前、飼っていた猫が先に旅立ってしまい、以来、自分でも不思議なくらい元気がなくなってしまった。失ってみないとその価値が分からないものにぼくは囲まれているのかもしれない。ぼくは風に流されるまま、エンジンの止まった飛行機のように低空飛行を続けていた。今日は土曜日。気心の知れたお客さんが集まってくる。昼過ぎから店はにぎわってきた。そんな中、こんどJazz喫茶をオープンさせるお客さんがやってきた。もうひとつの店の常連さんで、お会いするのは2度目。お客さんは言った。「スピーカーはAltec A7にしました。音源はアナログレコードで」。それを聞いたとたん、どこか遠くに行っていた元気が帰ってきた。Altec A7。いつかは手に入れたいと思っていた大好きなスピーカー。今でも時々、ネットで写真を見てはため息をついている。たぶん、自分の家に置くことはもうないだろう。でも、これからはちょくちょく会いに行くことができる。ああ、なんという幸せ。そのお客さんが、よかったらこれを、と、ワイルドターキーを下さった。ぼくはバーボンが大好きだ。どうしてわかったのだろう。今日はほかにも、大好きな手作りのカボチャプリンや手作りサーモンディップをいただいた。ぼくはすっかり元気になった
ひとりの時間
地球の外
トイカメラのfine tuning
熱帯雨林でポチった3Dカメラがすっかり気に入ってしまい、毎日これで撮ってはニヤニヤしている。1450円。カメラの外箱に「対象年齢9才以上」との注意書きがあったが、なるほど、このカメラはある程度の知識がなくてはその面白みを堪能することは難しい
写真を撮り始めて、いくつかの点が気になってきた。ひとつは、左右のカメラの性能に差があること。もうひとつは、左右のレンズの光軸が少しずれていること
カメラの性能の差については設定メニューなどないので手の打ちようもなく、レンズとレンズカバーを専用クリーナーで清掃するにとどまった。これによってフレアがずいぶん減少した
レンズの光軸については、カメラモジュールにアルミテープを貼り、その厚みによってモジュール自体を任意の方向に傾けて調整しようと考えた。さっそく分解し、工事に取り掛かったところ、なんと、片方のモジュールにはすでにプラスチック片が貼り付けてあり、これによって垂直方向の光軸調整が行われていたことが判明。メーカーも手作業で光軸調整を行っていたのだ。メーカーも大変だな
気になっていたのは水平方向の光軸のずれだったので、もうひとつのモジュールの片側に2ミリ角のアルミテープを2枚貼り付けた
組み立てて試写してみたところ、光軸のずれはほとんど解消しており、満足のいく結果が得られた
Goodbye
fragile
ロビンソンの「思い出のマーニー」は、とっくに忘れていた懐かしい風景や空を飛ぶ鳥の声、心細い風の音などを昨日のことのように思い出させてくれる稀有な物語だった。言葉の選び方が適切で、その情景は豊かな陰影と深い奥行きをもって心の銀幕に像を結んだ。そしてそれは今ぼくの心に儚い一枚の絵となって納まっている。ここに昨年アニメ映画化された「思い出のマーニー」のDVDがあるのだけれど。でも、これを観たら、ぼくの中のあの大切な絵はどうなるだろう











