金曜日の午後

160115_01 例によって予告なしに店に現れたヨコハマ美少女。例のごとく今回も変な土産を持ってきた160115_02 今回彼女が持ってきたカメラ(左)。一枚撮るたびに、ジーコジーコとフィルムを巻く。それを忘れてシャッターを切ると、思わず意外性に富んだ多重露光作品が完成するという

異郷

それ以来私は一箇の漂泊者となった。そしてあの薄靄に包まれたすべての遠い丘の上に立った。その丘々もまた冷めたく堅く鮮やかだった。しかしかなた、もっと遥かなところには、またしても幸いに満ちた碧い遠方の風景が予感に溶けて横たわっていた、――さらに一層けだかく、さらに一層あこがれの思いをそそるように。それからもなおしばしば私は彼らの誘惑に出会った。私はそのまどわしに抵抗しなかった。彼らのうちに故郷を感じ、近い目前の丘にたいして他郷のものとなった。そして今私はそれをこそ幸福と呼ぶのである。かなたへと身を傾けること、広々とした夕暮れのおちかたに碧い平原をみとめること、そして冷ややかな近隣の地をしばしば忘れ果てること、それこそは幸福である。それは私が少年時代に考えていたのとはいくらか違った、何かしら静かなもの、何かしら寂しいものであって、美しくはあるが、笑いさざめくそれではない。自分の静かな隠栖の幸福から、私は次のような知恵を学んだ。それはあらゆる事物の上に隔たりの綿毛を残して置くということ、何ものをも日常平凡な接触の冷たい無残な光に当てないということである。そしてすべての物に軽く、そっと、注意深く、うやうやしく触れるということである。

これはヘッセの随想集、さすらいの記から抜粋したもの。今朝これを読んでいて、ふと以前このブログで紹介した、あの言葉を思い出した。「自分の故郷をいとおしむ者は、まだ未熟者である。どこの土地でも故郷だと思える者は、すでにひとかどの力ある人である。だが、全世界は異郷のようなものだとする人こそ完璧なのである」
これはサン=ヴィクトルのフーゴーという中世の哲学者の言葉だそうで、作家・翻訳家の田中真知さんが「故郷と異郷のはざまで」という記事で紹介されていたもの。ぜひ読んで欲しいのですけど、この記事に登場するケニアの友人の締め括りの言葉は、あの星の王子さまに出てくるキツネが言った、目に見えない、本当に大切な何かを指し示しているように感じられます。田中真知さんが記事の最後で「世界全体を異郷と思う感覚。それができる人が完璧かどうかは別として、日常生活をもふくめて、自己を取り囲む世界の一切が異郷に見える「とき」というのは、確かに存在する。しかし、そんなときぼくが感じるのは疎外感ではなく、むしろ存在という海のいちばん深い底にふれているような不思議に静かな感覚だ」と述べてます。この記事を読んで思うのは、本当に大切な何かは、ぼくのような不注意なものには永遠に隠されていて気づけないのではないか、ということ。でも、あきらめてはいけないですね。とても大事なことだから。ちなみに、ぼくの勘違いでなければ、この世界を異郷とする立場で語っている人を一人知っています。聖書の中のイエス・キリスト

# 10

160113_01 タダでアップグレードしたwindows10、けっこういい感じ。ぼくの環境ではそれまで使っていた7より速くなりました。使えなくなったアプリもなかったし。そういやFirefoxが時々フリーズするな

そーですか

またパソコンが変になった。youtubeで某楽曲を聞いてたら、突如、画面に虹色の縞々が。それが陽を浴びた蛇のウロコのようにギラギラ波打っている。不気味だ。キーボードもマウスも受け付けない。電源ボタンを押し続けて強制終了。しばらく放置してスイッチオン。少々手間取りつつも無事ログオン。ところが、しばらく使っているうちにまた蛇が。ブルースクリーンもなし。これまでにない症状だ。グラフィックボードに問題が発生した可能性が高い。フッ、もうよかろう。と、ぼくは思った。つまり、いよいよ買い替え時が来たのだと。ぼくは愛情をこめてパソコンをポン、とたたいた。いわゆる肩たたき。すると画面に変化が起きた。画面はフリーズしたままだが、蛇がいなくなった。もう一度たたくと蛇が出る。もしや…というわけで、結局、パソコンのふたを開ける羽目に。正直なところ、パソコンのふたを開けるのはもう飽き飽きだ。コード類を引っこ抜き、本体を机に横たえてふたを開ける。怪しそうなところをいろいろいじくりまわし、ふたを閉じ、コード類を元通りにして電源を入れる。そして今これを書いているのですが、今のところ蛇は出ません。だれかが笛を吹かない限り

成人式の記憶

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昼過ぎ、珈琲を飲みながら何気なく窓の外を見ると、晴着姿のきれいなお姉さんが俯きがちに歩いていくのが見えた。そうか、成人式か。ぼくは遠い目になってセピア色に変色しつつある自分の成人式を思い浮かべた、はずだったが、自分でも驚くほど何も浮かんでこなかった。ぼくはあせった。寄せる波に砂山が洗われるように、ぼくの記憶もここにきてついに押し流されはじめたのか、みたいな。しかし、思いめぐらして程なく、このブログに自分の成人式の記事を書いたのを思い出した。ブログ内検索で「成人式」を検索すると3つの記事がヒット。その一つが自分の成人式当日の出来事を描写したものだった。成人式の決意、と題したもので、友人たちが「今日から禁煙するぞ」と誓ったという、くだらない記事。それを読んでぼくは訝った。今のぼくにはその記憶がない。思い出そうとしても、何一つ浮かんでこない。ふつうに考えれば、それはエージングに起因するものだから仕方ない、と、苦笑いしつつ納得すべきことなのだろう。しかしここでぼくは脳の記憶システムについて書かれた本の記事を思い出した。それによれば、人間の脳に収まっている記憶はハードディスクなどの記憶媒体に記録したデータとは違い、それを呼び出して再生するたびに編集、加工されてしまう。そして元の記憶はそれに上書きされてしまうのだ。だから、成人式の記憶を思い出し、それを再生した時点で、その思い出はリメイクされ、オリジナルとは異なる記憶になって置き換えられてしまったのである。だからセピア色の記憶の中にそれを探しても見つからない。新しい記憶になってしまったのだから。そういうわけで、もしあなたが大切な思い出をオリジナルなままで保存しておきたいなら、その思い出は決して思い出してはいけないのです

ミッシング

昨年末、店の商品の棚卸をし、そのデータを表計算ソフト、エクセルに記入した。あとは印刷してほかの資料と一緒に会計事務所のおねーさんに渡すだけ。そして今日。自宅のパソコンで作成した棚卸のエクセルデータをUSBメモリにコピーして店に持って行き、店のパソコンで開いた。ん?作成したはずの2015年のシートがない。ブックのタブは2014年で終わっている。これはどーいうことだ。ファイルのタイムスタンプを確認すると、2015/01/08、となっている。ぼくは青くなった。セーブし忘れたのか。ありえない。長年エクセルやワードを使ってきたが、保存せずに終了させたことは1度も…いや、2、3度ある。でもそれはソフトを使い慣れてなかった、ずいぶん昔の話だ。家に帰り、自動バックアップファイルを探してみたが、期限切れで消失していた。だんだん自分が信用できなくなってきつつある今日この頃

マンダム

休日はヒゲをそらない。休日8日目の夜、鏡の向こうでヒゲヅラの男がこちらを見つめている。悪くない。少なくとも不自然な感じはない。フッ、このままでいいんじゃないか。よし、明日はこれで行こう、と思う。が、すぐに思い直す。カウンターに立つヒゲヅラ男を一目見るなり、笑い転げるA男、B子、その他もろもろ。その様子がリアルに浮かび上がった。そして今日。いつものぼくがカウンターの中にいる

A LONG VACATION 7日目

160103_01 朝起きて、真っ先にコーヒーを淹れる。それを二つのカップに注ぎ、一つをヨッパライ某のベッド横のテーブルに置く。彼女はまだ眠っているから。南向きの部屋の椅子に腰掛け、本を開く。読みふけっていると、ふいに部屋が明るくなり、思わず顔を上げる。雲間から太陽が顔を出していた160103_02 今日はアナログビデオのデジタイズに没頭していた。退屈な作業なのだけど、古いビデオをモニターしていると、おもしろくてつい見入ってしまう。登場する家族、友人たちが別人のように若い。映像に酔ったのか、理性が飛んでタイムスリップしてしまう。途中、階段の照明器具が壊れていたのを思い出してデジタイズを中止、修理した160103_03長い休みとはいいものだ。好きなことにたっぷり時間を充てられる。録画したベンハーを見た。かなり長い映画で尻が痛くなった。ぼくが記憶するベンハーは大掛かりな映像で圧倒するハリウッド的なものだったが、今回あらためて見て印象がずいぶん変わった。ガレー船や戦車レースのシーンが際立ってすばらしいのは記憶どおりとして、今回は映像よりも、この映画の根底を通奏低音のように流れつづける深遠なテーマに心捉われ、感動した。いやー、映画って本当にいいもんですねー、サイナラ、サイナラ、サイナラ

A LONG VACATION 5日目

コーヒーカップ片手に屋上に上がり、ベンチに腰掛けて文庫本を開いた。空は青く、雲一つない。今日が何の日であろうと関係ない世界で、ぼくは温かな日差しを浴びながら本を読む。遠い景色、柔らかな陽光、熱いコーヒー。開いたページの文字を追っていると、どこからか金色の蜂が飛んできて文字の上にとまった。彼は気持ちよさそうに陽光を浴びたまま動かなくなった。やれやれ、そんなところでくつろがないでくれ、ページがめくれないじゃないか。D.H.ロレンスなら、キミを大地からやってきた客と看なし、キミが気持ちよく飛び立つまで辛抱強く待つだろうけどね。と、そんな無駄なことを考えているうちに蜂はどこかに飛んで行った

A LONG VACATION 4日目

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大掃除も一段落し、気分も休日モードに移行中。サンタマルタとマンデリンをブレンドしたコーヒーを淹れ、屋上に上がってベンチに腰掛けた。晴れた空を雲が流れていく。北のほうには雨雲が見える。しばらくしたら雨になりそうだ。このコーヒーカップは20年以上使っているお気に入り。ぼくがつまらないことで悩んでいると、「やれやれ、また悩んでるのか、バカだな」と犬が笑う

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午後から、雨樋のパイプの水平部分を取り外し、中にたまった某火山の灰を掃除した。これで今年の大掃除は終了した

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空いた時間に少しずつ行っている、ムービービデオのデジタイズ。終了したテープには「D」とサイン。あと3分の1くらいあるのだけど、できたらこの休み中に終わらせたいと思う

デジタイズしたムービーから一つ紹介。題して、わが家にWindows95が来た夜。ちなみにこのマシン、CPUはPentium-75MHz、HDDは540MBでした。

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来年もよろしく!