ショーシャンクになれなかった

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しまった、パトカーだ!
ぼくは車を急転回させ、民家が軒を並べる狭い路地に逃げ込んだ。背後でサイレンがけたたましく鳴り響く。ぼくは最初の十字路を左に折れ、目についた高級住宅のコンクリート車庫に車を突っこみ、シャッターを下ろした。
と、そこで目が覚めた。いやな夢だ。
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今日は雨のはずだった。しかし、カーテンを開けると、空はどんより曇っているものの雨は降っていない。
くそっ。
ぼくは舌打ちした。週間予報では今日は雨だった。そのつもりで、きょうはショーシャンクな一日を計画していたのだ。つまり、指宿の某貸切温泉の外湯に浸かり、全身に雨を受けながら喜びに満ちた顔で空を仰ぐ予定だったのである。
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しかし、あきらめるのは早い。もしかすると指宿は雨かもしれない、と思って、とりあえず車を走らせた。が、天気はますます良くなり、雲間から青空が見えはじめた。ショーシャンクな計画は失敗に終わったのである。
天気が良くなってきたので某植物園まで足を延ばし、そこで食事をとることにした。温泉横の山を超えて池田湖を半周し、しばらく走るとそこが植物園だ。つづら折の坂を上りきると空が開け、気分も明るくなってきた。が、そこには黒白ツートンカラーの車が待ち構えていた。ちなみにスバル・レガシーターボ。
「どちらへ行かれるんですか?」
車を止め、窓を開けると、背筋のピンと伸びた立派な体格のお兄さんがニコニコしながら聞いてきた。
ぼくの顔は思い切り引きつっていたが、となりのヨッパライ某がうまく応えてくれた。まったく心臓に悪い。
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植物園の花壇に、きれいなキャベツが噴水のように植えてあった。
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ここのチューリップ畑はほんとにきれいだ。
いつかわが家の庭もこんな風にしようと思う。
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レストランで昼食。
ホワイトクリームと焼サーモンのスパゲティーなんとか。
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公園にて

昨夜は某駅ビル映画館でMamma Mia!をみた。おもしろかった、というより、楽しかった。ABBAの曲を使ったミュージカルなんだけど、だれかがABBAの曲を歌うたびに、その歌詞が字幕に出る。ああ、なんてステキな詩なんだろう。ABBAの曲って、こんなにすばらしかったのか。ぼくは素直に感動しました。
何も考えず、楽しむための作品です。ぼくは十分楽しめました。
ビールでも飲みながら見るといいよ。
というわけで、ぼく的にこの映画のキロク: ★★★★★

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コーヒーをポットにつめて海に向かった。

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昨夜、某F少年のブログで見た某公園のベンチの色が変だったので、途中、某公園に寄って確かめてみた。やはり塗りなおしてあった。ぼくは些細なことでも気になると眠れなくなる。

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公園にはぼくの好きな遊具がいくつかある。特に好きなのがバネの付いたカバたちだ。やったことのある方なら分かると思うが、これにまたがって前後左右に揺さぶると、子どもに比べて重心が高いせいか、おもりを先につけたメトロノームの針のように派手に振れまくる。子供用の遊具とは思えないほどのスリルに、われを忘れて熱中してしまう。なめてかかると投げ出され、顔面から地表に激突し、鼻血が出たりする。なかなかの優れものだ。しかし、夢中になっているところをケータイなどで激写され、ヘタすると「変なおじさん発見!」などといったブログネタになる恐れが高い。まったく油断ならない世の中だ。

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ベンチを見て安心したので、海に向かうことにした。駐車場の木に、まっくろくろすけがたわわに実っていた。

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その海に抜ける細い道には、昼も夜も雨の日も風の日も、黒い服を着た目つきの鋭い男の人が立っている。

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着いた。ポットから熱いコーヒーを注ぎ、冷たい風の中で海を眺めていた。

空気に溶けた一日

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風邪をひいて二週間が経っていた。
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ぼくは冬眠から覚めたムーミンのような気分で南に向かっていた。風邪のウィルスはぼくの脳ミソをムーミンにしてしまったのだ。
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そんなわけで、今日のぼくの目に映る世界はムーミンの世界だった。なにもかもがメルヘンな色を帯びて光っている。
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黄色い花、ピンクの花、白い花。どれも輪郭が空気ににじんでボケている。そしてぼくの脳ミソはいつの間にか黄色やピンクや白の空気に溶けて消えてしまった。
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☆トマトなんとかスパ  おいしいでした。
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☆テリ丼  これもウマかった。

湯治な一日

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寒い日が続いたせいで、店のコンクリートの床がコチコチに凍りつき、ぼくのデリケートな足の指に赤いしもやけができてしまった。090119_01_1そこで、そんなかわいそうな足の指をいたわってやろうと思い、指宿の某温泉に行くことにした。いつもの温泉に行くと、八つある湯部屋のうち、縁の湯と恵の湯が空いていたので、今日は縁の湯を選んでみた。湯舟の隅に石臼が据えてあって、そこから温泉が流れ出している。うーん、これはいい。このつぎ家を建てるときは、わが家の風呂もこんなふうにすることにしよう。090119_04
かわいそうな足の指がふやけてきたので、いつもの温泉を後にし、湖を半周していつものハーブ園に行き、いつものランチを食べた。
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こうしょっちゅう行っていると、まるで自分の家のような気がしてくるから不思議だ。
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正月モード4日目

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朝起きたら晴れていた。
そういうわけなので、今日は南に走ることにした。
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海が輝いている砂浜を歩いていると、懐かしい記憶が次々に蘇ってきて、なんだか切なくなる。ぼくにとってここは記憶の海。
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腹が減ってきたので、ハーブ園にあるレストランに行った。
すると、注文をとりにきた店の方が
「ギックリ腰はよくなりました?」
と言って微笑んだ。ぼくはすっかり忘れていたのだが、前回この店に来たときに、あの白いチャンピオンベルトを店の人に見せびらかしたのだった。デザートはもちろん、ハイビスカスのシャーベット。ぼくはこれを食べないと年が明けない。ような気がする。
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食事を終える頃、大粒のうろこ雲が空を覆いはじめていた。ぼくは某植物園へ行き、太陽の下でキラキラ輝くチューリップを見たかったのだけど、植物園に着いたときには空はもうすっかり曇っていた。曇り空のチューリップたちは、こころなしか申し訳なさそうに見えた。でも悪いのは君たちじゃない。もちろん、ぼくでもない。
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この植物園には伊豆の踊り子という早咲きの桜が植えてあって、2月上旬には満開になる。見ると、つぼみがふくらみ始めている。よく見ると、気の早い花が二輪咲いていた。春よこい。
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見晴らしのよいベンチに座って、ポットの熱いコーヒーを飲んだ。ニューギニアで大きな地震があったそうだが、ここから見る海は静かで穏やかだった。

正月モード3日目

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寝坊したと思ってあわてて起きたら、まだ休みだったのでほっとした。正月三日目の朝は思い切り晴れていた。というわけで、コーヒーをポットにつめ、車を走らせることにした。正月ということで、とりあえずいつもと違う方向に走ってみた。積雪が残る高い山を二つ超え、左折すると、いつの間にかそこは海であった。
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海に面したドライブインで、ぼくは潮騒定食、ヨッパライ某は期間限定ウニ丼を注文。アラカブの味噌汁と刺身が絶品であった。
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いつものように道に迷いながらテキトウに走っていると目的の展望所についた。
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駐車場は満杯だった。駐車場の一画には焼いも屋とたこ焼屋が出店していた。なるほど、正月なんだなぁと感心した。ぼくは人が集まるところは苦手なので、早々に展望所を後にした。
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海を右手に見ながら走っていると、なんとなく絵になる自動販売機を発見してしまった。海に沈む夕日を眺めながら飲む缶コーヒーは、さぞやココロに沁みるだろう、と思ったが、ぼくは試す気はない。
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先ほどのドライブインの下に漁港があったので、寄ってみた。夕日に向かって、漁船が次々に出港していく。ドラマチックな風景だ。ぼくはテトラポットに腰掛け、太陽が海に沈むまでそれを眺めていた。
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And Winter Came

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冬がくる。ぼくはF少年から借りたエンヤの新しいアルバム、And Winter Cameを準備して車に乗った。山を超えたあたりで、アイルランドにあるような冬らしい空になってきた。ムーミン谷のカバたちはもう冬眠しただろうか。そんなわけで、そろそろエンヤをかけようと思い、カーステレオにつないだiPodもどき(iPodは高いので、ぼくは似たような安いのを愛用している)のボタンを押した。
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すると、思いがけず天地真理の「恋する夏の日」が鳴りだし、かなりうろたえた。運転しながらiPodもどきを操作するのは難しいのである。なかなかエンヤを探し出せないうちに車は某海浜公園に到着してしまった。すると、ここはもう正月が来ていたのだった。とにかくメデタイような気がしたので写真を撮り、公園を後にした。
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車は更に南下し、東シナ海に面した曲がりくねった道路に出た。とても冷たい風が吹いていた。某美術館の屋上で、海を眺めながら、持ってきた熱いコーヒーを飲んだ。
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さよならをするために

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ぼくは最後のチャンピオンベルトを腰に巻いて南に向かった。
チャンピオンベルトと別れる日がやってきたのだ。
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朝から冷たい雨が降っている。別れを惜しむかのように。
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さようなら、白いチャンピオンベルト

自動操縦な一日

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側面に沿ってナイフを入れたフランスパンの切り口にリエットを厚く塗りつけ、レタスとトマト、そしてキュウリをはさむ。それを三つに切り分け、ラップで包む。ポットに詰めるコーヒーは、最近お気に入りのゴールデン・ビートル。さあ、どこに行こう。でも、今日は考えないことにした。とにかく車に乗り、エンジンをかける。そしてぼくは頭の中のA.Cボタンをオンにする。A.Cとはオートクルーズの略。つまり、なにも考えなくても体が自動的に車を操縦し、昼食を食べるのに良さそうな場所にぼくを運んでくれるのだ。やがて気がつくと、車は指宿スカイライン沿線の千貫平自然公園の駐車場で止まっていた。
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ぼくは車を降り、坂を上って公園の奥にある展望台に向かった。だれもいない。ぼくはテーブルクロスを広げてパンを載せ、熱いコーヒーを入れた。遠くで海が輝いている。いい眺めだ。ぼくはのんびりとコーヒーを飲みながら、パンを二個平らげた。あと一個は、次の場所で食べることにしよう。081201_05_2
再び車に乗り込み、A.Cボタンをオンにする。車は勝手にどこかへと走り出した。どうせ海にいくのだろう、と思っていると、車は思いがけず右折し、だだっ広い畑の中に入っていった。
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そこは扇風機の町であった。どこまで走っても扇風機が立っている。
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車は帰路に就いたようだった。バックミラーに夕日が映っている。車は茶工場の横で停止した。
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茶工場と乱立する扇風機の柱が切り絵のようだ。ぼくは熱いコーヒーを飲みながら、暮れなずむ空を眺めていた。
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やがて、月がくっきり浮かんできた。

わがままな花

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天気が良かったので、弁当を持って錦江湾公園に出かけた。
ここのコスモスは、ちょうど今頃満開になる。
たぶん、バラ園のバラの開花に合わせて植栽しているのだと思う。
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バラを眺めながら歩くご婦人たち。
それは男のぼくの目に不自然な印象を与える。
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なぜならバラは女だからだ。
バラ。それは星の王子さまに出てくる、あのわがままな花。
ぼくはバラのまわりをぐるぐる回り、カメラのレンズを向ける。
でも、バラは振り向こうともしない。
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