たまには父を誘ってウナギでも食べに行こう、と思い、声をかけたが、「最近外に出るのが億劫になってなー、また今度」と、いうことだったのでコーヒーをポットに詰め、ヨッパライ某をとなりにのせて車を走らせた
いつもの店に行ってみたが、どのテーブルも人生の大先輩たちに占められ、すでに異次元の揺らぎがあちこちに表れていた。次元の境界に生じる不安定な揺らぎはぼくの繊細な神経にダメージを及ぼす。ぼくは順番待ちリストから自分の名前を消し、店を後にした
初めての店の玄関でメニューを眺めているとウエイトレスがやってきて、どうぞどうぞ、と笑顔で中に招き入れた。広い店内は誰もいなかった。ぼくは不安になった。海の見える窓際の席に座り、ぼくは焼き魚定食、ヨッパライ某はナントカという変な名前の定食を注文した。運ばれてきた焼き魚は値段の割に小さく、ぼくの不安は的中したかにみえた。しかし食べてみるとこれが予想外にうまく、値段相応以上だった