正義は勝つ

夕食後、ぼくはお客さんからいただいた菓子箱をテーブルの中央に置き、ふたを取った。中には独自の造形美をまとったアートレベルのシュークリームが四つ入っていた。一つ一つ微妙に形が違うのは手作りの証である。テーブルを囲む三人はそれを厳かに手に取り、おもむろにかぶりついた。完璧だ。箱にはシュークリームが一つ残った。平和的解決法はじゃんけん。おそらくヨッパライ某は辞退するだろう。でも、ゲームは人数が少ないと盛りあがらない。ぼくは言った。遠慮してもいいけど、じゃんけんは三人でやろう。すると、すかさず息子が言った。もしお母さんが勝ったら、ぼくにちょうだい。ぼくは耳を疑った。なんて奴だ。
ゴングが鳴った。
じゃんけんざらめがすいきった! まず息子が脱落。ふっ、当然だ。
じゃんけんざらめがすいきった! Winner ぼく。当然だ