いつかどこかで

160509_072008年も暮れようとしているある日、船乗りのおじさんから泥まみれの小さな根っこをもらった。ぼくはそれを陶器の鉢に水を張り、沈めた。その根っこは年々大きくなって、昨年、その一部は切り取られ、どこかの家にもらわれていった。そしてその根もまた大きくなって、いつかその一部は切り取られ、誰かにもらわれていく。そして、数百年も経ったある年の暮れ、地球のどこかでぼくによく似た男が泥まみれの小さな根っこをもらい、陶器の鉢に水を張って沈める