午前中、病院に行って心電図をとった。薬が効いているのか、心房細動もなく、良好、とのことだった。胸に巻いていたコルセットも、もう付けなくていい、とのことだった。
買い物を済ませ、家に帰り、食事を済ませた後で屋上に上がり、熱いコーヒーを飲んだ。ぼくは思いのほか疲れていることに気づいた。ぼくは思った。重いより軽い方がいい、と。
もっとも重い荷物というのはすなわち、同時にもっとも充実した人生の姿なのである。重荷が重ければ重いほど、われわれの人生は地面に近くなり、いっそう現実的なものとなり、より真実味を帯びてくる。 それに反して重荷がまったく欠けていると、人間は空気より軽くなり、空中に舞い上がり、地面や、地上の存在から遠ざかり、半ば現実感を失い、その動きは自由であると同様に無意味になる。 そこでわれわれは何を選ぶべきであろうか?重さか、あるいは、軽さか?
クンデラ 「存在の耐えられない軽さ」


