日が沈んだころ、いつものお客さんが店にやってきた。マンデリン四つ!、彼女はいつものように不機嫌な声でいった。店内には古い日本の歌が流れていた。このころの歌はよかったね、歌手の声もたおやかだ、とぼくがつぶやくようにいうと、きびしかった彼女の顔がにわかにほころび、たおやか…。ああ、久しぶりに聞いたわ。といい、遠くを見るような目になって、しみじみと、ほんとにいい言葉だよね、といった。そして、忘れるといけないから紙に書いて、といって、その紙を大事そうにしまい、うれしそうに帰っていった
日が沈んだころ、いつものお客さんが店にやってきた。マンデリン四つ!、彼女はいつものように不機嫌な声でいった。店内には古い日本の歌が流れていた。このころの歌はよかったね、歌手の声もたおやかだ、とぼくがつぶやくようにいうと、きびしかった彼女の顔がにわかにほころび、たおやか…。ああ、久しぶりに聞いたわ。といい、遠くを見るような目になって、しみじみと、ほんとにいい言葉だよね、といった。そして、忘れるといけないから紙に書いて、といって、その紙を大事そうにしまい、うれしそうに帰っていった