新しい年が始まったことだし、なにか人生の目標みたいなのを一つ考えてみたいぜ、とか思ったのだけど、考える間もなく、すでにずいぶん前から人生レベルの目標を立ててマジメに実行していることを思い出した。それは「問いを生きる」ということ。これはリルケという人が「若き詩人への手紙」で書いてることなんですが、「問い」が生じたとき、その答えをせっかちに求めず、かといって無視するのでもなく、それを美しい宝石のように愛し、夜も昼も肌身離さず持ち歩く。すると、なんと、あなたはいつの間にかその答えを手に入れた人生をそれと気づかず歩んでいるのです、という、実にうまい話なのです。
以下、リルケ (著), 高安 国世 (訳) 若き詩人への手紙・若き女性への手紙 より
あなたはまだ本当にお若い。すべての物事のはじまる以前にいらっしゃるのですから、私はできるだけあなたにお願いしておきたいのです、あなたの心の中の未解決のものすべてに対して忍耐を持たれることを。そうして問い自身を、例えば閉ざされた部屋のように、あるいは非常に未知な言語で書かれた書物のように、愛されることを。今すぐ答えを捜さないで下さい。あなたはまだそれを自ら生きておいでにならないのだから、今与えられることはないのです。すべてを生きるということこそ、しかし大切なのです。今あなたは問いを生きて下さい。そうすればおそらくあなたは次第に、それと気づくことなく、ある遥かな日に、答えの中へ生きて行かれることになりましょう。