昨日、山の上の美術館で石鹸の作品を見ていた時の話。ぼくが写真を撮っていると、近くにいた係の人が「これ、石鹸なんですよ、初めのころはとてもいい匂いがしてたんです」へええ~、石鹸!と、ぼくが目を丸くしていると、「ええ、この作家さんは、私も石鹸にされてたかもしれないんです、って話してました」 え?それ、まさか…ナチスとかアウシュビッツに出てくるあの石鹸の話ですか?と聞き返してみたが、具体的なことは知らない様子だった。
話を聞いた後でもう一度その作品を眺めてみた。驚いたことに、それはさっき見た、積み重なった石鹸、とは全く異質の何かに変化していた。
家に帰った後でこの作品について調べてみたところ、作家さんのインタビュー記事にそのことが触れられていた。
–外国での展覧会は。
2014年から15年にかけ、チューリッヒ(スイス)、クラクフ(ポーランド)、ハレ(ドイツ)でやりました。アウシュビッツに近いクラクフの現代美術館は、映画「シンドラーのリスト」にも出てくる工場をリノベーションしたもので、ナチの石鹸の話から、人が使った石鹸を積んだ作品を造りました。