マティーニ

秋刀魚はちゃぶ台で食べるとうまそうだ。
星一徹がひっくり返したちゃぶ台に秋刀魚は載っていなかっただろうか。
夕食は、おろし大根にカボスを絞った秋刀魚だった。
寝る前にぼくはウォッカを飲む。運よく冷蔵庫にフルーツがあれば、それを絞ってかける。今夜も一人台所に立ち、氷にウォッカを注いだ。
夕食に使ったカボスの残り半分が転がっていたので、それを絞ってかけた。
机に戻ってネットにつなぎ、一口あおった。それはまたとない奇妙な味だった。
マティーニの処方については無限のバリエーションがあり、オックスフォードでは「校内においてマティーニに関する議論すべからず」との規則があるという。
ぼくは今夜のマティーニに「秋刀魚のはらわた」と命名した。
その処方はこうだ。
カボスは秋刀魚を切り分けた包丁を用いてスライスすること。