天気のいい日が続く。空はコバルトブルー。
今から25年ほど前の話。
免許取立てのぼくに、悪友が「いい話」と称してアルバイトの話を持ってきた。
鹿児島から江ノ島までヨットを運ぶのだが、その運転手を探している、というものである。
ぼくは東京が好きだった。誘われればいつでも行く。
「いいよ」
話は決まった。
友人とかわるがわる運転しながら丸一日かけて走った。
なんの目的もなしに来てしまった江ノ島。今でも時々思い出す。空が青かった。
なぜか、漠然とした悲しみがいつまでもぼくを捕らえて離さなかった。
今でも機会があるたびに、一人で江ノ島に行く。
あの時と同じように空を見あげ、あの悲しみの余韻がどこかに隠れてないか探そうとするが見つからない。