四人目の客は客ではなかった

080718_01
今日、三番目の客は小学校の頃からの友人Yであった。
「明日から町内会の夏祭りをやるんだけど、俺はその係りでね。抽選の景品にコーヒーを出そうと思うんだが…。いい宣伝になると思うよ」
ぼくは何袋か適当に選んで彼に渡した。
「ありがとう。じゃあ、俺はシグリを100グラムもらおう」
景品分は売り上げにならなかったが、彼は自分用に一袋買って行った。とりあえず彼は客であった。
なぜだか分からないが、たいてい金曜日はヒマだ。ぼくはヒマなほうが好きなのだが、売り上げがないと生活ができない。人生とはままならないものなのだ。というわけで、ヒマだなー、ダレか来ないかなー、と思っていると、ドアの開く音が。四番目の客は高校の頃からの友人Sであった。彼は毎週金曜日に豆腐を持ってくる。彼は豆腐屋なのだ。
開口一番、彼は言った。
「寝ちょったとや」 (訳 : おまえは仕事もせず寝ていたのか?)
店にだれもいないと、彼はうれしそうに、必ずこう言う。他に言葉を知らないのだろうか。彼の嫁さんは美人で新聞のコラムを書くほどのインテリなのだが、彼は違う。この夫婦は日常、どういう会話をしているのか。彼は豆腐をぼくに渡すと、コーヒーも買わず、忙しそうに帰っていった。
いい忘れたが、彼の作る豆腐はとてもうまい。ぼくは彼の作る豆腐しか食べないことにしている。つもりだ。
ちなみに、こんなところで作っている。

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とうふ横丁
南九州市川辺町上山田374番地
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