振り子を使って水脈を見つける特殊能力を持っていたアグスティン。昔の恋人の面影を忘れることができず、愛する娘を残して死んでしまった。
駅から五分ばかり線路に沿って歩いたところには井戸掘り職人の家があった。彼は井戸を掘る天才だった。しかし、直子が十七になった秋、電車に轢かれて死んだ。
一人称単数。その何番目かにあるウィズ・ザ・ビートルズを読んでいるとき、ぼくの中の振り子がふれ始めた。それは一見、どこかの町の風景画みたいな回顧録。しかし、その町の地下には四方に伸びる水脈があり、太古の昔から生き続ける年老いた蛇が棲んでいる。ぼくは振り子を頼りに地下に潜入していく。