ジャガイモのある風景

金曜日の男からジャガイモをたくさんもらった。ぼくはそれを眺めながらジャガイモのおいしい食べ方について考えを巡らせた。まず頭に浮かんだのは、炙ったジャガイモとドイツの太いソーセージが冷えたビールの横で湯気を立ててる風景。次に、村上春樹の小説に出てくる、ジェイズバーのカウンターに載った、ビールに添えられたフライド・ポテト


「今夜バスで帰るよ。」
ジェイはフライド・ポテトにするための芋をむきながら何度か肯いた。
「あんたが居なくなると寂しいよ。猿のコンビも解消だね。」ジェイはカウンターの上にかかった版画を指さしてそう言った。「鼠もきっと寂しがる。」
「うん。」
「東京は楽しいかね。」
「どこだって同じさ。」