午前の仕事が一段落ついたので、お借りしていた村上春樹さんと小澤征爾さんの対談本を読みはじめた。すると、いつもと何かが違うことに気付いた。対談本だから、そこには生の会話が記録されている。その紙上での村上氏の話し方がいつもと違うのだ。おそらく、先日、ラジオ番組で村上氏の声を1時間近く聞いたせい。ぼくはそれまで村上氏の声を聞いたことがなかった。そういうわけで、本の中の村上氏の仮想の声が突如、本物に置き換わってしまったのだ。これはおもしろい、と思い、ネットで小澤征爾さんの対談動画を探しだし、そのおしゃべりをしばらく聞き続けた。結果、紙の上での対談が映画の3Dみたいにリアルになるんじゃないか、と思って。でも、本に戻ろうとしたとき、急に仕事が忙しくなって、その成果を確認することはできなかった。