今日、ぼくは夢のように思い出す。こんなことも、今では遠い昔になってしまっている。あの二人のフェアリーは、その後、どうなったことだろう?たぶん、結婚したであろう。そうだとしたら、彼女たちは変わったであろうか?娘から女に移るということはきわめて重大なことなのに。新しい家の中で、彼女たちは何をしているだろうか?雑草や蛇を相手の彼女たちの友情はどうなったことだろう?あのころ彼女たちは、何か宇宙的なあるものに関与していたのであったのに。ところが、やがて一日、娘の中に女が目ざめるのだ。すると…
これはサンテグジュペリ「人間の土地」堀口大學訳からの一節。先日、ユーミンのコンサートを見てきた友人の話がちょっと興味を引いた。コンサートの中で、あの頃の私は今の私とは別の誰かだったような気がする、みたいなことをユーミンが話したのだという。ふーん、だろうね。ぼくだってそう思う。サンテグジュペリが言うように、あの頃のユーミン、荒井由実は、何か宇宙的なあるものに関与していた。ところで、先日読んだサンテグジュペリの「夜間飛行」の新訳がとてもよかったので、調子に乗って「人間の土地」の新訳も買ってみた。堀口大學訳は500円だが、新しい訳は1000円もする。出だしはなかなかいい。1000円の価値はありそうだ、うふ。と思いつつ、気に入っている個所をいくつか対比させてみると…例えば前述の、結婚して女になると、という件などは…、堀口大學訳の方が渋くてずっといい。でも、まあいいや。ぶつぶつ