先日、夜中に街中の道路を走っていたら、海の匂いがした。海からずいぶん離れたところだったので妙な気分になった。台風が近づいていたせいかもしれない。小学校の1年か2年の時だったと思う。ある日ぼくは海に向かっていた。親がなかなか連れて行ってくれないので、自分で行くことにした。海から離れたところに住んでいたので、どの道をどう歩けば海に行けるのか分からなかった。家の近くに川があった。川を下れば海に出る。ぼくは川沿いを歩き続けた。海は遠かった。でも、海にたどり着いた。泥だらけの、とても臭い海だった。今でも時々、その臭い海の風景を夢に見る