夢の中のぼくはぼくではなかった

変な夢を見た。いつの間にかぼくは散髪屋のイスに座っていた。ぼくの後ろで妙に存在感の薄い男がぼくの髪を切っていた。ふと鏡を見ると、ぼくの後頭部は切りすぎて大きなハゲになっていた。なんてことをしてくれたんだ!と、ぼくが怒鳴ると、存在感の薄い男は小さな声で、じゃあこうしましょう、といって指揮者のような手つきでハサミを動かした。しばらくするとぼくの頭はモヒカン刈りになっていた。だが問題はそこじゃなかった。ぼくはその髪型が気に入ってしまったのだ