赤い花

120405_01
月夜のだれもいない道を海に向かって歩いていた。
しばらく歩くと道の先に橋がかかっていた。
水の音が聞こえてきた。
青白い灯が川下に向かって点々と映り、左右に揺れていた。
そして涙のようににじんで広がった。
この景色はむかし見たことがあった。
ぼくは足を止め、ながいあいだそれを見ていた。
遠くで赤信号が点滅していた。