ばたばたと店じまいをし、車をとばして家に帰り着くなり家族をせかして車に乗せ、暗い夜道をひた走った。行き先は今日、店でお客さんに教えていただいた山の中の店。8時までにいらしてください、とのことでトイレに行くひまもなかった。走りながら、となりに座っているヨッパライ某に、お金は持ってきた?と聞くと、うん。という返事。以前、財布を忘れた前科があるので、以来、しつこく聞く癖がついてしまった。で、いくら持ってきたの? 一万円。えー、それじゃー足りんかもよ。だってOさんのオススメなんだから、それなりの店に決まってるじゃないか。するとヨッパライ某は、えーー、どうしよう。と言った。そこでぼくは、あんたが生ビールを飲まなきゃ何とかなるさ、と言った。