海に着いたのは夕方だった

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ぼくの住んでいる団地の周辺には田んぼがたくさん残っている。この時期、稲穂は頭を垂れ、刈り取りを待つばかりだ。そんな風景を見てこようと、歩いて田んぼに向かった。田んぼは眼前に迫る山の麓に広がっており、山奥から流れ出る豊かな清流に潤されている。旧伊作街道はその流れに沿って山の奥へと消えている。
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旧伊作街道をちょっとだけ歩いて帰ってくるつもりだった。はいてきた靴も底にスリットが入った室内履き。歩いていくと、キンモクセイのいい匂いがしてきた。ずっと上のほうから匂ってくるようだ。
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結局、ずいぶん上まで登ってしまった。道端にいたヤマガニ君
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旧街道を登っていくと、今の伊作街道の平治というバス停に出る。そこが旧伊作街道の終点だ。
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現在の伊作街道は交通量が多く、歩道もほとんどない。路側帯も狭く、大型トラックが来るたびに恐ろしい思いをする。伊作峠を過ぎてしばらくすると下り坂だ。
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どんどん下っていくと、右手に大きなそば屋が見えてくる。たまに歩道があって喜んでいても、それは束の間のこと。
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のんびり歩いていると、車では気づかない面白い風景が次々と現れ、目を楽しませてくれる。
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さらに歩いていくと、道はぐっと平坦になり、黄金色の田園が広がった。足の裏の皮がむけたらしく、ヒリヒリする。底の薄い靴をはいてきたのだからしょうがない。
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伊作の街を抜け、松林をどこまでも歩き、砂丘を越えると海が見えてきた。東シナ海。
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時計を見ると5時半だった。時折雨がぱらつく。
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家を出たのが10時半だったので、海まで7時間かかったことになる。
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帰る頃には日もとっぷりと暮れていた。伊作の商店街の外灯がノスタルジック

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“海に着いたのは夕方だった” への5件の返信

  1. [E:sun]御無沙汰です。
    ちょとそこまで・・のつもりが・・ホント吹上まで歩いたんですか?[E:sign02]わっぜか!
    [E:yacht]海が・・好きなんですね~!
    帰りも・・もちろん歩き[E:foot]ですよね。あなたは偉い!!

  2. 歩きましたよ、昨日は薄曇りで風も涼しく、快適でした。旧街道は今はアスファルトで舗装されてますが、とても狭いです。交通量もほとんどありません。何かおもしろい発見はないか、と、きょろきょろしながら歩いているうちに登りきってしまいました。伊作の街に着いたときに雨がぱらぱら降り出したので、ああ、ここまでか、とあきらめかけたのでしたが、持ち直したので歩き出しました。3時過ぎには着くだろうと考えていたのですが、思ったより遠かったです。ジュース代のつもりで少しお金を持っていたので、それでバスに乗って帰りました。南高校前で降りたのですが、雨が降っていたのと足が痛かったせいで、そこからが遠かったです。

  3. あそこまで歩いて行けば何があるのだろう。あの先のあかりの下には誰がいるのだろう。
    「幾山河こえさりゆかばさびしさのはてなむ国ぞけふも旅ゆく」
    何があるか誰がいるか。この心は寂しさなのだろうか懐かしさなのだろうか。それともあこがれなのだろうか。
    The answer is blowing in the wind…[E:heart]

  4. こんにちは、すてきな歌ですね。季節のせいもあるのでしょうか胸にしみ入ります。省みて、今思えば用もないのに7時間歩き続けた自分って、なんだったのでしょう。それは楽しく、足が痛いのも苦にならず、時を忘れて恋人と過ごしたような、あっという間の7時間でした。その間、妙な感傷に耽ることも、山の向うになにか望みを見出していた風でもありません。一ついえるのは、今ぼくはとても元気ってこと。aquilaさんがおいしい酒によって元気を取り戻すのと同じことを、ぼくは図らずも歩くことで行ったのかもしれません。カタルシス、ってやつかな。あたたかいコメント、ありがとうございました。上等なウイスキー(命の水)をおごってもらったようでありがたいです。

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