忘れられた日本人

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午後、いつものように金曜日の男がやってきて豆腐を置いていった。彼は田舎の山奥で豆腐を作っている。モロヘイヤはいるね、というので、なんでもいいからくれ、というと、道端に生えていそうな変な草をくれた。たまたま居合わせたお客さんが、それ、ねばねばしてうまいわよ、といった。先週は取れたての地鶏の卵、その前は巨大なニガウリを彼は置いていった。家に帰ってぼくはヨッパライ某にいった。田舎はいいぜ、道端にいろんな食い物が生えていて、食いたいときにちぎって食うんだ。鳥だってそこらを走り回ってるのを捕まえて羽根をむしって食う。いいなぁ田舎に暮らしたいな。するとヨッパライ某はいった。大きな虫がいるからヤダ!ぜったいイヤ。
ずいぶん前、金曜日の男の家に遊びに行った時のこと。家の前の細い道で変な外人に会った。風呂敷包みをぶら下げた棒を肩にかつぎ、足にはわらじを履いている。ニヤニヤしながら近寄ってきて、あなたはどんな仕事をしているのか、と聞いてきた。今度コーヒー屋をするつもりだ、というと、ココアはないのかという。ない、というと、残念だな、といってどこかに行った。あとで金曜日の男に、頭のおかしい外人に会った、というと、それはジェフだという。なんでも、彼の家よりさらに上ったところでニワトリと暮らしているらしい。数日前、シロクマを食べに行ったついでに宮本常一の「忘れられた日本人」を買ってきた。前から読もうと思っていて忘れていた本だ。最近、この本を英訳してアメリカで出版した人がいる。例の変な外人だ。

“忘れられた日本人” への2件の返信

  1.  モロヘイヤは栽培する野菜でが、写真のように葉を大きく栽培する人はプロの農家です、サット茹でて酢しょうゆでよし、酢味噌によし、とにかく栄養があり繊維が多くまあ
    食べてみてください。

  2. そうなんですか、そんなに良い野菜とは知りませんでした。ぼくは食べられる野菜には見えず、道端の草に見えました。今度豆腐屋に会ったらちゃんとお礼を言おうと思います。明日、さっそく茹でて酢醤油で食べてみます。情報ありがとうございました。

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