レンズの向こうはどんな顔

もし、自分の写真を撮ることができるなら、それはとても楽しいことだろう。つまらない悩みにとらわれ、頬杖を付いて、憂鬱そうに遠くの一点を見つめている自分。ミノムシのようにふとんにくるまって頭の先だけ外に出している姿。背中を老人のように曲げて海辺をとぼとぼ歩いている哀れな男。だれもいない山奥の湖で、日がな一日、ボートをのんびり漕いでいる謎の人。