彼を知りて己を知れば

おとといの夜、夕食のあとでヨッパライ某に聞いてみた。君はあの事件、気にならないの? と。あの事件とは、もちろん、あの漁船衝突にまつわるあまり愉快とはいえないゴタゴタのことだ。ヨッパライ某はすぐさま向き直り、すっごく頭にきた、と声を上げた。本気で怒っているのだった。ぼくは、ヨッパライ某がまったくこの件の話しをしてこないので、てっきり、さほど興味がないのだろうと思い、人それぞれなんだなぁ、と妙な感慨にふけっていたのだった。しかし実際はそれとは逆で、口に出せないほど怒っていたのである。ぼくはというと、この事件の展開がどうにも腑に落ちずに混乱していた。その夜、ぼくは自分の考えをまとめるべくネットを徘徊した。そしてあるブログの記事を読んで、なるほど、と思った。さっそくヨッパライ某を呼んで、たぶん、こういうことだろう、と、その記事を読ませ、そのあとで、ぼくなりの解説を付け加えた。ヨッパライ某はいくらか溜飲を下げたようだった。でも、それが実際にそうであるという確証はどこにもなかった。ところがさっき、いつものように内田樹さんのブログを見に行ったら「外交について」という記事があがっており、おとといの夜、ぼくがヨッパライ某に話したこととほとんど同じ内容のことが述べられていた。ぼくは少しだけど意を強くすることができた。事実、ぼくはいつになく不安になっていたのだ。
あの国の外交を見ていると「孫子の兵法」を思い出す。この機会に、もう一度目を通しておくのもいいなと思った。