ぼくの大事なバジルに虫がついた。少しくらい(葉っぱ一枚程度)なら分けてやってもいいが、このバカはぼくの大事なバジルの葉っぱのあちこちに穴を開けた上に、芯を食いちぎって、新しい芽を宙ぶらりんにしていた。ふだんは沈着冷静なぼくも、これには無性に腹が立ち、クルクル巻いた葉の中に寝そべっていたイモムシを片っ端から引きずり出して道路に放り投げた。約10匹のイモムシは宙を舞ってどこかへ消えた。ざまあみろ。後で調べてみると、この虫はベニフキノメイガという蛾の幼虫であった。しばらくして、再びバジルを見に行くと、ハチがバジルの周囲をぐるぐる回っていた。何か一生懸命探している様子だ。そのハチはイモムシを狩って巣に持ち帰るドロバチの一種だった。イモムシはぼくが一匹残らず摘まみ取ったので、ハチの獲物はいないはず。つまり、ドロバチはイモムシを見つけて近寄ってきたわけではない。バジルにイモムシがいることを知っているのだろうか。それとも、虫の歯型のある葉が獲物のありかを示す信号になるのか。